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迫り来る嵐のmasaのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
3.8
一昨年の東京国際映画祭に出品されていて気になっていた作品。主演男優賞と芸術貢献賞受賞作品。

殺人事件の捜査に取りつかれた男…
リアルで謎めく展開のサスペンス。

刑事に憧れるあまり、狂気の際まで踏み込んでしまう複雑な心理描写を主演のドアン・イーホンが見事に演じている。
そこに1990年代後半の経済発展に向けて激変した中国の様子をおりまぜている。

1997年。中国の小さな町の古い国営製鋼所で保安部の警備員をしているユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)は、近所で起きている若い女性の連続殺人事件の捜査に、刑事気取りで首を突っ込み始め、しだいに事件に執着していく。
ある日、恋人のイェンズが犠牲者に似ていることを知ったユィの行動によって、事態は思わぬ方向に進んでいき、想像を絶する展開が待ち受ける…

映画は出だしの雰囲気で一気に期待感が膨らんだり萎んだりするが、この作品は、「殺人の追憶」や「薄氷の殺人」に通じる、ある種独特の雰囲気が確かにあった。
ほとんど雨の中でのシーンだが、そこも謎めいた雰囲気を助長させている。
見事な作品だと思う。
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