しゅう

リズと青い鳥のしゅうのレビュー・感想・評価

リズと青い鳥(2018年製作の映画)
4.2
実写映画でも大きな起伏のない日常を瑞々しく映す作品は多いのだけれど、これをアニメーションにすると全てを作り手の「意図」によって緻密に再現する事によって、登場人物である少女達の一挙手一投足に途轍もないエモーションが生まれる。

特にこの映画版はデザインも一新して萌えアニメ的な要素や熱血部活アニメ的なダイナミズムを排し、TVシリーズの主人公でモノローグを多用した久美子の視点も無くして、今作の主人公である希美とみぞれ(とそれを見守る同級生夏紀と優子)の関係性のみをひたすら描写する。

その世界は繊細な美しさと同時に息苦しさと不穏さを孕んでいて、観客はその危うい均衡が破られる瞬間を予感せずにはいられない。

そしてその緊張はある少女の「諦念」によって解放に向かうのだけれども、それが劇中で語られる「ハッピーエンド」と言えるのかどうか。なんとも割り切れぬ後味が残るのも良かった。
しゅう

しゅう