久しぶりにケラケラ笑った。
心が痛い時、男はつらいよで励まされ、頑張ろうと思い、いわば寅さんは私のバイブルみたいなものだった。
安定の山田洋次が近年挑むのは家族のかたち。世知辛く核家族が増え無縁社会になる中で、昔ながらの三世代同居で関わりすぎて近過ぎる関係の家族のあり方みたいなものを笑いとともに提示する。
三作目の家族はつらいよ、今回は主婦への讃歌がテーマ。
主婦(夏川結衣)の仕事は朝から晩まで沢山あるのに誰からも労われず、ほんと大変だ。夫西村雅彦は俺が稼いでくるからお前は家のことをして当然だという体でいる。
ある日平田家の嫁(夏川結衣)がちょっと昼寝をしてしまった隙に、空き巣が入ったことにより夫婦の諍いが始まり、嫁が家出をするというパターンなんだが。
四作目にして皆息ぴったりで、見事なアンサンブルを奏している。
不協和音奏で始まる平田家の騒動を、どんなに深刻でも笑いの差し水が入って、ほっこりほんわかで包むから、安心して観ていられる。
こんな家族今滅多にいないが、家族会議という理由でみんなが集まるのが微笑ましく思えてくる。喜劇でありながらも言いたいこと言って関わりあって、ぶつかり合ってこそ家族なんだと、どこかで心配して見守る存在があることが羨ましくも思えてくる。
最終的に、しんみりと家族のありがたみも感じてしまうから不思議だ。
年齢層も高めの試写会、面白かった。
