回想シーンでご飯3杯いける

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.5
前2作が周造(橋爪功)と妻の富子(吉行和子)メインの話だったのに対して、今回は長男夫婦(西村雅彦・夏川結衣)が中心の話。夫の留守中に泥棒に入られ、へそくりを盗まれた事で、夫に叱責された妻が家出する。

背景にあるのは長年家事に縛られてきた妻の不満と、家事労働に対する夫の不理解。あー、考えてみれば先日レビューした「クレイマー、クレイマー」とも共通する、難しく言えば女性の人権をテーマにした作品という事になる。同じテーマでも、「クレイマー、クレイマー」から遅れること40年、、、、。そう考えると男女平等の点では、日本はまだまだ立ち遅れていると言えなくもない。

ただ、もしこの「家族はつらいよ」シリーズが流暢にフェミニズムを謳ってしまうのなら、それはもう別の作品になってしまうわけで、昭和生まれの古風な価値観と、次男夫婦(妻夫木聡・蒼井優)に代表される現代的な考え方が、一家の中でぶつかり合いながら問題を解決していく光景をコミカルに描く本作は、日本らしいし、無くてはならない存在だと思う。

それから、一応シリーズ物という事になっているけれど、脇役は毎回微妙に違う役どころで登場するし、基本的に前作までのエピソードを持ち込まない潔さも特徴。つまり、1作目から全部観なくても良い、初心者に優しい作りになっている。公式HPで公開されているあらすじも、まるで単独作品のような丁寧さで、こういう所も好きだ。