TAK44マグナム

ベター・ウォッチ・アウト: クリスマスの侵略者のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

4.0
こんなに愛しているのに。


キュートな女優さんであるオリヴィア・デヨング演じるベビーシッターがとんでもない目にあうホームインベージョン(←むむむ・・・)ホラー。
子守されるお子様役は「PAN ネバーランド、夢のはじまり」で主役を張ったリーバイ・ミラーであります。
驚くほどの演技。こんなのやってフィルモグラフィー的にはどうなのかな・・・


クリスマスの夜。
ベビーシッターのアシュリーは12歳のルークの子守を頼まれます。
もうすぐ引っ越す予定のアシュリーにとって最後の仕事。
アシュリーの事を好いているルークは、彼女の彼氏であるリッキーや元彼のジェレミーの事が気になったりしつつ、何とかアシュリーと今以上の関係になりたいと思っているマセガキでした。
もちろん、アシュリーは子守の相手以上とは思っておらず、相手にしていません。
二人がホラー映画を観ていると、何やら不審な電話がかかってきたり、外から物音が聞こえてくるではありませんか。
訝しがっていると、電話の主が口を開きました。
「おまえを見ているぞ」



む〜〜ん、よくあるサイコ野郎が家に侵入してくる系ですね。
でも、全体の1/3を過ぎた辺りで超展開があり、そこからガラリと雰囲気が変わります。
そう、地獄のホームアローンが(クリスマスだけに)始まるのDEATH!
まぁ、ひとりぼっちではないですけどね。

タイトルの意味は「注意して」みたいな感じなのでしょうけれど、アシュリー視点からみると、このタイトルでさえミスリーディングの為なのかも。

かなり胸糞悪くなるので万人にオススメするのは気が引ける映画ですが、「嫌なモノを見せる」という点において完成度はかなり高いと思います。
マジで、サイコパスの身勝手さにホトホト愛想がつきますよ。
頭が良いくせして、一度その頭に血がのぼると手がつけられないうえに、ひとたび一線をこえてしまうと「まぁ、いいや」と勝手気ままに殺人も正当化できてしまう。
完璧なる狂人ですよ!完璧狂人!
これがまた狂った演技が上手いので、見ていて本当に憎たらしくなってきます。
道端で会ったら思わず殴ってしまいそうです(汗)

なんでまたアシュリーたちが狙われて、どうしてサイコになってしまったのか?の納得できる説明がされるので、そういった点ではモヤモヤさせられずにすみますが、ラスト付近では誰もが悶々としてしまうことでしょう。

ちゃんと、溜飲を下げてくれる幕引きが用意されているので、「マーターズ」や「屋敷女」などと比べると、そこまで鬱にはならないで済むとは思いますが、エンドロール中のラストワンカットがもたらす嫌な余韻がこれまた秀逸。
見事に、後味を苦くしてくれますよ。

大変楽しめた本作ですけれど、惜しむらくは、ある理由から直接的なゴア描写は殆ど映りません。
おそらくはコンプライアンス的な問題だと思うのですが(でも、こういう犯人像のって結構たくさんあるんだけどね)、やっている事は酷く残酷でも、今時のホラー映画にしては描写そのものは大人しめでしたね。
個人的には物足りませんでしたが、ゴアなホラーに耐性の低い方でも観られる怖い映画という意味では、オカルトものではないホラー映画の恐ろしさを堪能できる逸品だと思います。
なので、普段こういった系統のものを避けざるおえない方にこそオススメ致します。
ただし、胸糞悪くなるのは避けられませんのであしからず。


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