ひろくん

バンパイアハンターDのひろくんのレビュー・感想・評価

バンパイアハンターD(2000年製作の映画)
4.2
小学生の頃に劇場で観て、当時は終盤の機序をあまり理解できていないながらも、ひたすら画としての格好良さに感動し、脳裏にこびりついて離れない、そんな映画だった。満を持してというか、いつまで待っても日本語版ブルーレイが出ないのでついに北米版を購入したのだが(なのでセリフは聞ききれてないし、字幕を追うのも大変だったのだが)、川尻善昭の作風とこれほどマッチする世界観・キャラクターは他にないだろうと思える画面の完成度の高さに唸らされ、そしてなにより「実はこれは温かみのあるヒューマンドラマなのだ」ということも理解でき、満足度が高い。
シャーロットとマイエルリンクがなぜあれだけの仲になったのか?という根本的なところがイマイチわからないので終盤の説得力に欠けるところはあるが、まあとにかくカッコいいし、最後の邂逅など、収まるべきところに収まってるので良いのだ。終わりよければすべてよしである。あと「吸血鬼は太陽の光に弱い→宇宙ステーションに行ったらずっと夜だから安心」なんて誰でも思いつきそうなのに、なんでこの作品までこの発想が出てこなかったのか不思議に思うよ、これ見たら。
ボルゴフがDに向けて矢を放ち、Dが月を背にしてそれを掴むあのシーン、あんなにカッコいいシーン、他のアニメで見たことがない。たった20年前には日本でもこんなにカッコいいアニメが作られていたのだ。あと、手書き2Dアニメで馬が走っていたり(失われた技術である。本作と、同時期に作られた『アニマトリックス』を最後に、まともな馬の走りはアニメで描かれていないのではないか)、透過光による表現など、日本のセルアニメの技術の爛熟と最後の輝きを随所に見て取れる、ある種記念碑的な作品であるかもしれない。どこが版権持ってるのかわからないが、このような作品がまさに日本においては4Kリマスタリングはおろか単なるブルーレイ化すらされてないのは、端的に歴史の軽視であり悲劇だろう。
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