ひろくん

サイダーのように言葉が湧き上がるのひろくんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ベッタベタの直球ボーイミーツガール、
という以上の何かがない。普通によくできている。語らないことによって疑問を抱かせないことを徹底しているし、それぞれのシーンへの意味付けもきちっとされていて(フジヤマさんを追いかけてチェリーが道路を横断し、車を止めてしまうカット、あれがあることで彼のクライマックスの行動にも説得力がもたらされる。チェリーという人物は“そういえこと”をするのだ)、観ていて引っかかる部分がない。逆に言うといっさいの批評性もない。「田舎の工場跡地に建てられたショッピングモールのデイサービスに集まる老人が、モールの中を徘徊して夏の俳句を詠む」というある種の“お笑い要素”はあるが、その物語上の意味が回収されており、それ以上何かを言わせることを防いでいる。スペイン人ハーフの日本語の読み書きができない友人が、そこら中に落書きしまくることもしれっと物語の中に織り込んでいるし。ある意味で堅いが、堅いことを感じさせないソツのなさ。普通によくできている。
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