天豆てんまめ

カメラを止めるな!の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.2
ほんと映画愛が深い映画。そして究極の大人の青春ドキュメント映画。笑って、笑って、最後は泣いた。

公開当時、本当に劇場で観れて良かった。この劇場の一体感はひとり家では味わえない。忘れかけた何かを確実に思い出させてくれる映画だった。

前半のツッコミどころ満載感も楽しめ、その伏線が見事に回収されていく後半は唸りつつも笑いに笑い、そして、最後はその仲間と一丸になって辿り着いた’真っ直ぐな愛’に泣く。

ゾンビ映画をワンカット撮影しようとする奴らという設定の良さと緻密な脚本がベースにありながら、現場と俳優陣の予測不可能な生身の感情の破れがその秀逸な脚本すらぶち破り、奇跡の階段を上っていく。

同じ映画をもう一度撮れと言われても上田監督は無理だということを分かっている。その上で無理目な奇跡に臨んだ。それがここまで心を打つ。

当時、映画を仕事にしている人、いや多くのクリエイターが賛美と嫉妬に明け暮れたのは当然だ。リスペクト!

ENBUゼミのワークショップでここまで辿り着いたこの奇跡は年を越えて、皆の心に残り続けると思う。出ている役者たち、誰も知らなかったけど、みんな好きになった。

しかし、緊急時代宣言延長の中、ようやく東京も映画館再開となった。

この映画公開当時のような一体感のある劇場体験がまた楽しめますように。

やっぱりモノを作る、それを観客に届けるっていうのは愛なんだよなぁ。

忘れかけていたものを、置き去りにしていたものを、心の奥底にキューンと炙り出させてくれた映画だ。