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カメラを止めるな!のkaomatsuのレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
3.0
ストーリーやテーマについて少しでも触れようとすると、たちまちネタバレに繋がってしまうという、とても珍しい作品なので、簡単な感想のみに留めておきたい。

最小限言えるのは、この作品は2部構成の、映画製作についての映画。もしかしたら監督さんは、『8 1/2』や『アメリカの夜』、はたまた『ホーリー・マウンテン』などの、映画を扱った映画を作ってみたくて、でも、それらの作品には遠く及ばないことは重々分かった上で、B級映画として新たなアイデアを捻り出そうとしたのかもしれない。映画についての映画というのは、二重構造となり、その奥行きとギャップに意表を突かれたり、映画製作の舞台裏を垣間見たりできるので、映画好きを夢中にさせる要素を多分に含んだ、面白い作品が生まれやすい。本作もまた、アイデア勝利のB級映画などと形容するのは失礼なほどの、思いの外しっかりした編集や撮影技術、演出、そして脚本力を感じた。そして、最後まで楽しませてもらったクチではある。プロットや伏線回収などはきわめてシンプルだし、セリフ回しも分かりやすく、本作が大ヒットするのは至極自然な気がする。でも、映画中映画の撮影ネタをばらされて、あー、あのときのあのシーンはこうなってて、だからこういうショットになってたのか、という落としどころがストンと腑に落ちて、あースッキリ…となったものの、それ以上でも以下でもなし。かといって、ことさら批判的に捉えるほどでもなし。チープでも何でもなく、観客のニーズに対して十分に機能した、完成度の高い作品ではあると思う。
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