自分の理想の全てを受け入れてくれる楽園は、自分の中にしかない。
こうあって欲しいと望むものを相手に投影することがあるけど、そういう気持ちを善や悪という尺度ではなく、人の持つごく自然な気持ちとして描こう、撮ろうとしているところがよかった。
そして、理想を強要される人間がどのように苦しんで病んでいくのかが、ものすごく鮮明に描かれていた。
テフラには最後までゴーギャンを拒む仕草がなくて、それが逆に見ていて切なくなった。
彼の部屋の壁に浮世絵が貼られていたことも、自分の価値観を超越した世界を求めていたことを感じるひとつの要素だったと思う。これももうひとつ楽園の象徴だっのかな。
ゴーギャンや彼を取り巻く人々の幸せや怒りやかなしみ、苦しみさえ世界の流れのひとつとして緩やかに画面に表されている。