ゴーギャン タヒチ、楽園への旅の作品情報・感想・評価・動画配信

「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」に投稿された感想・評価

odyss

odyssの感想・評価

3.0
【芸術家映画としてはイマイチ】

タヒチに渡って画家としての仕事をしたゴーギャンの半生を描いた映画。
フランスからタヒチに旅立つあたりから始まって、いったんタヒチを離れるあたりまで。

フランスでは妻も子供もいたのに、彼らはタヒチに行きたがらず、結局ひとりで旅立つことに。

そしてタヒチで現地人の女性を妻にし、絵を描いていく。

その辺の伝記的事実は、まあ分かる。そこはそれでいい。

でも、ゴーギャンの画家としての才能が開花したのがタヒチなのだから、タヒチに来て彼の絵がどう変わったのか(或いは変わらなかったのか)、タヒチの人物や風景とゴーギャンの画家的素質がどのように切り結んだのか、その辺にもっと触れて欲しかった気がする。

その点でこの映画は物足りない。つまり、芸術家映画になりそこねており、ちょっと変わったヨーロッパ人が遠い太平洋の島に出かけていき、そこで暮らすお話に終わっているわけ。残念。

このレビューはネタバレを含みます

ゴーギャンはのっぺりしてるなとか画集では良さわからなかったけど、美術館では素晴らしくていっぺんに好きになった。ノアノアもいいな。
タイトルロールの海からタヒチの自然の美しさに惹き込まれるカメラがいい。
可愛いテフラが若い男の子に惹かれるのも当たり前で彼もそれがよくわかってる。お別れに絵を描いてと頼む場面が好き。
監督さん難しい伝記ものを大袈裟な演出もせず静かに撮り、カッセルも疲れ切った顔でほんとの芸術家を演じ切ったと思う。
えり

えりの感想・評価

3.5
最近、原田マハにハマり美術を勉強中。
1回目のタヒチ暮らしはいい絵もかけて、妻とも仲睦まじく生活しているのだと思っていたけど全くそんなことなくてびっくり。

「男は理想を求め、女は現実をみる」とよく耳にするが、ゴーギャンは美術にも女にも理想を追い求めすぎた結果、現実的な女性とどんどん距離が開いていったのだと思う

この映画は美術作品そのものよりゴーギャンという人となりにスポットが当てられていて、心が離れる夫婦と貧困生活に心が痛み哀れに感じた。しかし、このような理想主義者のゴーギャンがいなければ、現代のわたしたちが名作を楽しむこともできなかったわけだ。時代を切り拓く芸術は、開拓途中では社会に認められないばかりである。それでも開拓し続けられるのは理想主義者であり、私は彼らに感謝せずにはいられない。

楽しませてくれるような映画ではないが、偉人のリアルな人生を知れてよかった。
退屈だった…テフラが可哀想。
ゴッホがめちゃくちゃ映画化されてるのに対して、ゴーギャンはほとんど映画になってない理由がわかった気がする…
linus3

linus3の感想・評価

1.7
ゴッホが執着していたゴーギャンとはどんな人物だったのか、タヒチのどんなところにひかれ、どのようにしてあの独特の絵を生み出すようになったのかを知りたかったが、この映画ではよくわからなかった。
タヒチの自然も、ゴーギャンが島を去るときに船から見える山々の景色で、初めて素晴らしいながめだと気づいた。
hayaka

hayakaの感想・評価

-
「怠惰にはなりたくない」
「真実だと思うなら私を思いっきり殴って、そうしないと怒りは永遠に収まらない」
mametoume

mametoumeの感想・評価

3.4
ゴーギャン=タヒチとかゴッホと生活した事は知っていたんですが、映画でモデルになった女性や島の生活を見ると実感が湧きますね。しかし生活苦は半端なく、現地人が彫刻のコピーを30フランで売ってるのにゴーギャンはますます金に詰まるという皮肉。画家の人生を映画にすると辛いものをみますね。
aaaakiko

aaaakikoの感想・評価

3.3
わたしゴーギャンて、仕事を定年後に妻と別れてタヒチに行き、そこに楽園を見出して好きな絵を描いた、というふうに誤解してました。純粋な人だと思ってましたが、「私は偉大な芸術家だ」みたいなこと手紙で書いててイメージが変わりました。
そもそもなぜポリネシアに惹かれたのか、そのへんのこと知りたかったんですけどこの作品では描かれてなかったし、上のあらすじにある「株式で失敗し」云々のことも描かれてなくて突然タヒチに行く!となっていた。
タヒチへ移った後は、すべてが「ま、そらそーなるだろうな」という展開でした。

だけど、描かずにはおれない絵描きがボロボロになっても描く、みたいなシーンは無条件に好きだし、現地の嫁が具合悪そうに横になってるところ見て「そのまま動くな」とか言ってスケッチ始めるところ、そうそうこういうところ芸術家だ!と思えて、そこだけは楽しかったです。
自分の理想の全てを受け入れてくれる楽園は、自分の中にしかない。
こうあって欲しいと望むものを相手に投影することがあるけど、そういう気持ちを善や悪という尺度ではなく、人の持つごく自然な気持ちとして描こう、撮ろうとしているところがよかった。
そして、理想を強要される人間がどのように苦しんで病んでいくのかが、ものすごく鮮明に描かれていた。
テフラには最後までゴーギャンを拒む仕草がなくて、それが逆に見ていて切なくなった。

彼の部屋の壁に浮世絵が貼られていたことも、自分の価値観を超越した世界を求めていたことを感じるひとつだった。これも楽園の象徴としてのひとつの役割だったように思う。
ゴーギャンや彼を取り巻く人々の幸せや怒りやかなしみ、苦しみさえ世界の流れのひとつとして緩やかに画面に表されている。

ゴーギャンの何を描きたかったのかがぼんやりしていて、とても中途半端に感じた。


"傲慢で芸術至上主義で強い男"
というのが、まあ、世間一般のゴーギャンのイメージ像だろう。
(この辺は『月と六ペンス』のせいな気がする)

恐らくだが、この映画で描きたかったのは、そんな強い男と言われるゴーギャンにも人間的な弱さがあったのだということな気がする。

だとすれば、それはある意味で成功していて、ある意味では大きく失敗している。


「ゴーギャンは芸術至上主義である。」
「ゴーギャンは芸術のためなら、何でもするし、何でも捨てられる。」
「ゴーギャンはまったく俗世間に興味を示さない」
彼は、その大胆な生き方からそう見られがちである。

だが、ゴーギャンは、元々画家ではなく、バリバリ仕事をして、大成し、稼ぎまくっていた男である。
これが実は重要なポイントだ。

貧乏大家族ではなく、元々は裕福な暮らしをしていて、その上で、家庭を築き、子宝に恵まれた。
それがある時に、画家として生きていきたいという欲求がどうにも抑えきれなくなり、すべてを捨てて、道を変えた。
(大不況に巻き込まれたのもあるが...)
この流れを汲まないと彼の人生は見えてこない。

そのためゴーギャンの中には、二面性があり、相反するものが共存していたはずだ。
"現実的な暮らし"と"芸術に身を捧げる生き方"
"人嫌い"と"人たらし"
"文明"と"未開"
などなど。

一般的に、この二面性や混乱は語られることは少ない。

恐らく、この映画は、そこに着目し、ゴーギャンって実は人間っぽいとこあるんだよ。怖くない愛せるオヤジなんだよ。ということ描きたかったのではないか。(多分)

しかし結局、映画では混乱や中途半端な人間らしさは描けても、この二面性が"何によって"生じているかを描けていないために、作中でゴーギャンは理想ばかり語る女ったらしの売れないバンドマンに見える。

描き方のバランスも悪い気がする。
この時期だけをピックアップしたことにより、上記のような経歴がわからない。そのために初めから感情移入や思考の理由を想像出来ない(ゴーギャンの経歴を知っていても)、
さらにタヒチでの色恋に重点を置くあまり、芸術至上主義であり、貪欲に絵を描く姿勢みたいなものがイマイチうまく描けていないせいで、単なるクズにしか見えない。
(常に絵を描いたり、女より絵を描くのが最優先みたいな描写は何度か見られるが、なぜか、鬼気迫る感じがない。その描写に何か大きなものが欠落している気がする)


ここからは更に勝手な想像だが、
ゴーギャンは芸術至上主義になりきれなかった人間だ。
金を稼ぎまくった末に、こんなものはどうでもいい、こんな人生に価値はない。となったのは確かだとは思うし、本当に絵の魔力にやられて画家になったのも間違いなく真実である。
しかしその先では何処か、わざと自己暗示をかけ、その考えを極端にしていた部分はあったに違いない。
自分は、芸術至上主義者である。と言い聞かせることによって、元々自分の中に存在する安定を求める心や優しさみたいなものを自らマヒさせていた側面があるのではないか。
人間たらしで、実は誰よりも愛が深い故、それが絵を描く上で、時に邪魔になるから。
芸術こそすべて。と信じることで、貧困や嫉妬や愛と向き合う辛さから、遠く離れようとしたのではないか。
自分は芸術至上主義者なのだと言い聞かせながら、絵を描くことに集中しようとしていたのではないか。
そう思わずにはいられないのである。

ゴーギャンの人間的な弱さを描くためには、間違いなくこの葛藤を丁寧に描かなくてはならない。

そうしないと、単に、家族を捨ててタヒチにやってきてダラダラ絵を描きながら出会った少女に振り回される嫉妬深い病気の爺さんになってしまうのだ。
実際、彼はどうしようもない人間だったのかもしれないが、少なくとも、この映画で描かれている(というか意図せずそうなってしまっている)ようなクズではなかったはずだ。



残念ながら、ゴッホが愛したゴーギャンは、この映画には登場しない。
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