fujijun

ファントム・スレッドのfujijunのネタバレレビュー・内容・結末

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「思えば僕は君をずっと探してたんだと思う」の口説き文句は、これ『NINE』のオーディションシーンでも似たようなこと言ってたやつだなあと。
「やっと理想の人に会えた」ということなので、同じようなセリフになるのは仕方ないんだけども、同じダニエル・デイ=ルイスだから見ててちょっと面白くなってしまう。

初対面から即座に「強く見せてるけど、そう演じてるだけよね」と分析されたのから始まり、最終的にはその実は弱く哀れな自分をお母さんのように庇護してほしいという秘めた願望を完全に満たしてくれる上に、マネキンとして創作意欲も満たしてくれるアルマは完璧な存在なわけで。

毒きのこオムレツの後の、小さくなって膝に洗面器を乗せて脂汗をかきながらにこにこして「ちょっともしもの時のために医者を呼んでおいたほうがいいかもね。愛してるよ。でも今はちょっと部屋を出ててね。」と、これからゲロを吐きまくる姿は見せたくない紳士の気遣いに思わず吹き出したけども。
どこまでも綺麗な、マザコンの夢が叶う映画とでもいうのかな。

「幽霊は怖くない。むしろいてほしい、その方が安心する。」というのがこの結末に繋がってるんだと思うととても納得。
死が怖くない人ならではの"プレイ"だなあ……。
変態同士の凹と凸が完璧に当てはまったのだから、ハッピーエンドだ。

それにしてもダニエル・デイ=ルイスいつ見てもめちゃくちゃ色っぽい。今作もめんどくさいし冷徹だし、ママの話をしてる時だけらんらんと狂人の目になるけどやっぱりかっこいい。そしていい声。
引退なんてもったいないなあ。


『ビッグバンセオリー』が大好きなので、「仕事してるのに頼んでもない紅茶なんか持ってきて!」「だから下げるって」「今更下げても邪魔された事実は消えないんだよ!」のくだり、めちゃくちゃシェルドンが言いそうな台詞だなあと思うと、なんだか可愛いく思えるの不思議。
(シェルドンが好きなだけ)
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