ぶちょおファンク

ファントム・スレッドのぶちょおファンクのネタバレレビュー・内容・結末

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

序盤★3.5 中盤★3.5 終盤★3.5

『ブギーナイツ』『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』
くらいまではコンスタントに撮ってたけど、
近年はあまり名前も聞かず作品も注目されていない
ポール・トーマス・アンダーソン監督、
映画好きは略してPTAと呼んでいる。

個人的PTAベストは『マグノリア』で、
この作品はオチに注目されがちですが
オレはオープニングのくだりがツボなんで
本作もオープニングに注目しましたが、
いやぁ〜やはりPTAは仙須良男(センスよしお・藤子不二雄風)くんですよ!!
構図、音楽、カメラワーク、どれをとっても品があってしなやかで美しい♪

物語は気難しいオートクチュールの仕立て屋レイノルズ(D.デイ=ルイス)と元ウェイトレスのアルマとの愛が主題ではあるものの、中盤からスリリングな歪んだ愛情に変わってビックリ!!!

最初は紳士なレイノルズ、しかし釣った魚に餌をやらないタイプっちゅうか。。。
けど釣られた魚も実は毒持ってた!!!
ってなかなかにお互い曲者!(笑

よく理解できなかったのがラストのくだりで、
“毒キノコ”と知っててなんでレイノルズはオムレツを食したのか?
あの一件があってたとえばクリエイティブ性が上がったとか、
死を意識することで生(性)や愛が充実したとか、
そういうのがあれば彼の行動も理解できますが。。。
シスコンでマザコン、看病で亡き母の愛的なものをアルマに感じたのか?
それとも幻覚でもいいから母の姿を見たいとか?
タイトルの『Phantom Thread』、
Phantomは幻影、Threadは糸って意味らしいのでやはり母の幻影?愛という幻?そこから垂れ落ちる糸?(直訳)
様々な解釈のできるラストでこれはこれで面白いな。。。

『芸術は作るまでは作家の物だが出来上がればみんなの物。
凄いでもこんなクズでも皆がそれぞれの感想を持てばいい。
芸術とはそこら辺に転がっている石コロみたいなもんだ』
by 岡本太郎(アーティスト)

オレは太郎さんのこの考えに大賛成で、
芸術に限定することなくモノづくりって
そういうもんやと思ってます。
しかし本作のレイノルズは
出来上がって顧客にドレスが渡っても
“自分の作品”の扱われかたにクチを出すタイプで、
こういう偏執的ヒトって
やっぱどっか常人とは違うんでしょうね!

2019年70本目