明石です

1922の明石ですのレビュー・感想・評価

1922(2017年製作の映画)
4.3
「妻は夫の裁量でどうにでもなった時代」を舞台に、幼い息子の手を借りて妻を殺害した男に襲いかかる恐怖。人怖なのかオカルトなのか(あるちはネズ怖なのか)、スティーヴン·キング原作、という事実以外何ひとつ知らない状態で鑑賞。予想外に楽しめました!

キリスト教の教えがちょくちょく主人公の口をついて出てきたり、息子が母親を殺す前に「天国に行くんだよね?」としきりに確認し良心の咎めを抑えようとする感じ、前近代的で良いなあ(なるほど1922年か!笑)ところどころ挟まる主人公の日記形式のモノローグが文学的な雰囲気に満ちてて好き。「うちの女房と約束をするなんて、ゼリーに釘を打つようなもんだ」とか、クスッと笑っちゃう。リリカルさは正義ですね。

死体の口に巨大なネズミが、尻尾だけ残して入り込んでくシーンは素晴らしくホラーで、死体の味を覚えたネズミが家畜に群がり、、挙句のはてには、ネズミに噛まれた主人公の腕が壊死し、切断に至る、、なんたるネズ怖!ただ、牛を生きたまま井戸に落として殺すシーンは最悪でした。こういう不快なだけの描写はやめてほしい、、映画の中での動物殺しはいかなる場合も不必要だと思うのは私だけでしょうか。

いずれにせよ、怖いかどうかで言えば、、滅茶苦茶怖い。サイコパスでも何でもないきわめて平凡な男が、息子への愛ゆえに妻を殺さなければならなかった、だからこそ良心の痛みに苛まれる、というのが味があって良いですねえ。あの手この手で怖がらせようとするアイデア満載のプロットも好き。そのうち原作も読もうっと(なぜか家の本棚にあるし)。

—好きな台詞
「あの晩、私は、多くの人が学ばなくてもいいことを学んだ。人殺しは罪であり破滅であると同時に、労力を要するということだ」

「神なんて居なきゃいい。天国も地獄もない。人殺しは皆そう願うのさ」
明石です

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