ちろる

ブレッドウィナー/生きのびるためにのちろるのレビュー・感想・評価

4.1
家族と共に暮らし、ささやかでもご飯を食べることができて、最低限の安全な生活を営める。
ただそれだけのことが叶わない世界がこの地球上のどこかにあるのだ。

生き延びるために髪を切り落とし、
生き延びるために危険な仕事をして、
生き延びるために家族と離れ離れになる。

こんな世界で女はどう生きれば正解なのか?
見ている最中怒りに怒りが積み重なりすぎて、一体何を憎めばいいのかすらわからない。
苦しくて辛い描写が続くのだけど、これをアニメーション作品にした一番の目的と言えるのはこの過酷な状況を乗り越えるために、少女パヴァーナが果てしない想像力で作り上げた物語の世界の映像描写なのだろう。

頭の中でもう一つの世界を作り上げれば、あと一歩踏み出す力がみなぎることもあるのだ。
想像力は人間にとっての最終兵器となる。
小さくて、か細くて、あどけない少女の多魂の物語は、軟弱な私が徒然と書くこともおこがましいくらいに輝いていた。
本当に純粋で崇高な作品です。
ちろる

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