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恋は雨上がりのようにのmのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
4.8
原作読者としては、完璧な映画化だったと思う。

挿話のタイミングや順番を巧みに変えて本筋を活かす為に枝葉を潔く切った(そして後述するこの作品の核をきちんと捉えた)脚色が見事で、演出やしっとり美しい撮影・照明もしっかりと技術的に映画を支えている。『走る』というアクションを疾走感溢れるカメラワークで捉えているのも良い。

主役2人のキャスティングが完璧!
小松菜奈の長い手足を持て余した寄る辺の無さとあの完璧な無言で物語る眼が見事にハマった。小松菜奈の一種のアイドル映画としても見事な出来。
そして大成功だったのは相手役に大泉洋を当てた事。この人のオス臭さの無い優しさが、この物語の決して外してはいけないポイントを見事に押さえている。
脇では他校のライバル役の眼光が力強い山本舞香も印象に残った。

原作も映画も厳守しているポイントが、決しておっさんに都合の良い幻想物語に陥らないという事。タイトルに「恋」とはあるが単純な年の差恋愛映画ではなく、これは立ち止まっていた2人が歩き出すまでの成長を描く青春物語であるという事をこの映画の作り手達が的確に意識して押さえているのが良かった。
主人公2人のそれぞれの人生の前進と、淡い恋心の決着とが甘過ぎない前向きさで描かれている。清々しい梅雨の終わりの映画だった。


ポルカドットスティングレイで始まり、スカートや忘れらんねえよを招聘して〆は神聖かまってちゃんのカバーという音楽の選曲センスも功を奏している。
唯一この映画で個人的に勝手に勿体ないと思ったのが、ラストで主題歌が流れ始めるタイミングがほんの1秒程早過ぎた(と感じた)事だった。
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