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ゲティ家の身代金のkouのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.0
リドリー・スコット監督最新作。数々の見せ場、ゾクゾクする展開、緊張感と物語の終結、すべてのバランスがよく流石リドリー・スコットという感じ。1973年に起こったゲティ三世誘拐事件を描いた。本作が多くの騒動の末、公開にたどり着いたその過程を考えても、これだけの作品に仕上がっているのは素晴らしい。

世界一の大富豪ゲティの孫が誘拐され、身代金を要求されるも、金が惜しくて払おうとしない。そんなどこまでも金に執着し続ける男を演じたクリストファー・プラマーの存在感にやられた。また、特に印象に残るのは、人体のある部分を切り取る場面の壮絶さ。見ていて顔を背けたくなるほどの痛々しさが強烈だった。

どこまでも屑なゲティの姿は見ていて最悪だが、それ故に惹きつけられるものがある(公衆電話を用意していたり、身代金をすこしでも安く済ませたいやり取りは最高)。そして並行して描かれるゲティ三世のサスペンスフルな展開が見事。物語の推進力をぐっと高めている。素晴らしい作品だった。
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