Inagaquilala

リヴァプール、最後の恋のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

リヴァプール、最後の恋(2017年製作の映画)
3.6
迂闊にも、この作品を観るまで、モデルとなったグロリア・グレアムの存在を知らなかった。「悪人と美女」という作品で、アカデミー賞の助演女優賞にも輝いた女優だということ。そのグロリアと、約30歳の年の差を超えた恋愛をしたイギリスの俳優ピーター・ターナーの回顧録が原作だという。ちなみにグロリアは57歳の短い生涯で、4度の結婚をしており、そのうち4番目の夫は、2番目の夫の義理の息子という波乱に富んだ愛を生き抜いた女性だ。このグロリアを演じるのが、アネット・ベニング。時にハッとするほど魅力的な表情を見せたかと思うと、病に倒れた役なのでやつれ果てた姿も見せる。その演技の幅は、さすがに素晴らしい。

30歳の年齢差恋愛なのだが、ときにまったくそれを感じさせないシーンも登場する。ただ、作品自体、ふたりが知り合い、恋に燃えていた頃ではなく、それから数年後のグロリアに死期が迫っている時期が舞台だけに、どこまでが恋愛なのか測り知れないものもある。相手役のジェイミー・ベルがまだまだ若々しいのだが、この年齢差のカップルは、意外とすんなり受け入れられた。リヴァプールは、ピーター・ターナーの出身地で、病に倒れたグロリアが、その地に行きたいと懇願するところから物語は始まるが、作品の中にも、この街のモニュメントが登場する。正直言って、リヴァプールという街は、それほどロマンスの香りがある場所とは言えないが、妙にノスタルジアを刺激するのは確かだ。
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