なかなかかわいい映画だった。BLちっくなお話。
サイモンの部屋に、ハッフルパフのワッペンが飾ってあるんだけど、サイモンの志向があらわれてるみたいで、ニヤリとしてしまった。
主人公であるサイモンは、はっきり言うと、マイノリティの中のマジョリティーだと思う。イケてる友だちも居るし、家族も暖かく、趣味志向もクールだし、そして何よりも見た目がいい。
作中で、カミングアウト済みのゲイの子が出てくるんだけど、こちらは、お世辞にも見た目がいいとは言えないし、趣味志向も乙女ちっくな感じ。
マイノリティの中にも、れっきとした差別やソーシャルカーストがあって、それはマジョリティーのそれよりも、かなり苛烈だったりすると思う。たぶん、このカミングアウト済みの子は、ゲイの世界でも異端視される。存在こそ受け入れてもらえるけれど、サイモンみたいに「同級生の素敵な彼氏ゲットしちゃったよ!」とはならないんだろう。それこそ茨の道。
サイモンの性指向がアウティングされてしまったとき、この子は「相談してくれれば良かったのに」と言うのだけれど、サイモンは「だってぼくら共通点ないし」と話す。サイモンは同じく「君に嫉妬してたのかも」とも言うけど、それは語弊があるように思う。ソーシャルカースト的には、サイモンは、彼よりも上に居ると思うし。
お話がライトな感じなので、そこまでは切り込まなかったのかもしれないけれど、ノーマルやスタンダード、もしくは人にウケる、モテるなんて価値観はマイノリティの中にもあって、そこに当てはまらない人たちも沢山居るんだってことが、ちょっと切なくなった。