あんがすざろっく

プーと大人になった僕のあんがすざろっくのネタバレレビュー・内容・結末

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー作品をそれほどたくさん見ていない僕なので、クマのプーさんがどういう内容なのかはほとんど知らず、知識としてあるのは、せいぜいティガーとピグレットというキャラクターがいて、クリストファーロビンという男の子がいることぐらいでしょう。
何だか日頃の疲れのせいか(笑)、予告で見た癒しの空気に惹かれ、劇場に足を向けました。

僕はクリストファーロビンが大人になってから話がスタートすると思ってたんです。
ですが物語は、ロビンとプー達が遊ぶ幼少期から始まり、既にプーさんもティガーも、そこにいるのが当然のようにスクリーンに登場します。
満を持しての登場だと思っていたんだけど。
ですが、それが却って作品の世界へすんなりと観客を誘います。
変な気負いを感じさせず、プーさんは普通にそこにいる。CGが発展した今であっても、作品の核がブレることはありません。

ストーリーはとてもシンプルですが、実はよく練られています。
大人になって、現実に揉まれ、家族との時間を潰して仕事に生きるクリストファーロビン。奥さんと子供を実家のサセックスに旅行へ送り出し、自分は一人ロンドンで仕事に追われる週末を送ります。
そこにかつての遊び友達プーが現れ、ロビンの日常を引っ掻き回します。
でもロビンもプーを突き放すことが出来ない。プーを100エーカーの森へ帰すことが一番だと判断したロビンは、彼を連れてサセックスへ。
そして、懐かしい100エーカーの森へ足を踏み入れます。

仕事第一の人間になっていたロビンですが、サセックスに向かうことで彼の心は揺らぎます。
ロビンだって、家族と一緒にいたい。
プーの出現は、ロビンの気持ちの表れだったのかも知れません。
プーから友達探しを頼まれたロビンは、最初こそ断るものの、やはりプーを放っておけない。
そして、プーより先に「友達」と再会します。

このキャラクターがみんないいんですね。
本当に生き生きしてます。
個人的には、悲観的に思えて世の中を達観しているイーヨーが良かったなぁ。

ロビンはプーやティガーと再会することで、仕事より大切なものを見つけます。

なんて優しい映画なんでしょう。
ひねりなんてないけれど、観客の皆さんはきっと、そんなところに期待してなんかいないと思います。
原作ファンの方は勿論プーさんが実写になってスクリーンで観れることを楽しみにしていたのだろうし、現に自分も凝った脚本や演出は望んでませんでした。

僕にとっての映画における娯楽って、映像の華やかさや派手さだったり、観客の裏をかく展開だったり、普段体験できないものを楽しめることだと思います。

ですが本作は真っ直ぐにストレート。
僕はしっかり癒されました。
そうか、こういう作品もありなんですね。

監督はマーク・フォースター。
僕の大好きな「ネバーランド」の監督さんでもあります。
やっぱり安定してますね。
子供向けのテーマを、大人が鑑賞できる作品に仕上げた手腕は見事です。
何度でも観たくなってしまう不思議な魅力に溢れた作品です。

それにしても、プーさんのモフモフ感は最高‼︎
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