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ルイスと不思議の時計の一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

イーライ・ロス監督作。

世界を破滅させる力を秘めた時計を巡る少年の冒険と闘いを描いたファンタジー。

アメリカの児童文学作家:ジョン・ベレアーズが1973年に第1作目を発表して以降、ベレアーズの死後は別の作家が執筆を引き継ぐかたちで新作を発表し続け、2008年発表の第12作目をもって完結を迎えた「ルイス・バーナヴェルト」シリーズの第1作「The House with a Clock in Its Walls(壁のなかの時計)」を、『キャビン・フィーバー』『ホステル』『グリーン・インフェルノ』等を撮ったゴア映画の俊英:イーライ・ロスが映像化したジュブナイルファンタジーの良作で、二人の魔法使いに出逢った孤独な少年ルイスの冒険と闘いの日々を活写しています。

1955年、事故で両親を亡くした少年ルイスは古い屋敷で暮らす叔父:ジョナサンに引き取られる。ジョナサンには仲のいい隣人女性:ツィマーマンがいて、ルイスは二人と共に新たな生活を送ることに。ジョナサンが魔法使い、ツィマーマンが魔女である事実を知ったルイスは自分も憧れの魔法使いになるべく勉強を始める。やがて屋敷の何処かに隠された時計によって世界が破滅の危機にあると知った三人は力を合わせて事態の解決に奔走するが…というお話で、魔法ファンタジーに程よい塩梅のホラー&ミステリーが融合した作風にワクワクが止まらない良作に仕上がっています。

犬みたいに家主に懐くソファー
勝手に模様が変わるステンドグラス
喋りかけてくるカラクリ人形
所構わずウンチする植栽のライオン
等々、魔法感満載のお屋敷世界が映像的楽しさ万点に活写されていますし、『ハリーポッター』のように魔法初心者である少年ルイスの“覚えたて魔法お披露目”シーンも夢いっぱいに描かれています。

魔法の世界に初めて触れた少年の冒険と二人の魔法使いとの邂逅&交流をコミカルに描く前半から、世界を破滅に導く時計を巡る悪者との対決をシリアスに描く後半へ。作風の明確な転調が物語をきちっと締めていて、子供向けファンタジーながら起承転結を上手に纏めたお手本のような娯楽映画になっています。そして本作をゴア映画界出身のイーライ・ロス監督が撮ったという点が最大のサプライズであって、彼がこれまで発表してきた残酷血みどろ映画を視聴済の方は子供向け正統派ファンタジーも卒なくこなせてしまうロス監督の守備範囲の広さに唸らされるのであります。

二流魔法使いを演じたジャック・ブラック、エリート魔女を演じたケイト・ブランシェットは役柄にぴったり合う適役で、ブラックの持ち味であるコメディ演技とブランシェットの妖艶&落ち着いた演技の凸凹コンビ芸にも笑わせてくれます(“紫”をテーマカラーにしたブランシェットのお衣装が素敵)。
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