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ある少年の告白のJTのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
4.1
ある少年の告白は"本当の自分"を消し去った

2019年50本目: 原題『Boy Erased』

ルーカス・ヘッジズ演じる大学生のジャレッドは牧師の父と寛容な母に自分がゲイであることを打ち明けるが、信心深い両親は受け止められず、息子に同性愛を治す矯正セラピーへの参加を勧めるのだった

ラッセル・クロウとニコール・キッドマンが両親を演じて、監督のジョエル・エドガートン自らも出演
主題歌を務めるアーティストのトロイ・シヴァン、さらにはグザヴィエ・ドランなどが脇を固める
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や
『スリービルボード』、『レディ・バード』などに出演して注目を浴び今作が初主演作となるルーカス・ヘッジズは21歳にして他のベテランキャスト顔負けの才能溢れる演技を魅せた

アメリカで依然として存在する同性愛者矯正施設
そこで起きているのは矯正や治療などではなく洗脳
生まれながらにして"同性愛"などなく
全ては選択の結果とされる
それらは聖書に基づくもので"同性愛"は神を否定する行為であり罪とされるのだ
息子を受け入れられない親の立場にも納得がいき
信心深い家庭なら矯正という選択はごく自然なのかもしれない
それでも息子と同じように苦しむ両親
強い信念を持って生きてきた父ラッセル・クロウのどうしても理解できずにもがく姿に胸が痛み
母ニコール・キッドマンの息子と夫のどちらをも支えようとする姿勢と演技に心打たれる
そしてなにより自分をいくら否定しようと自分でしかいられないルーカス・ヘッジズの葛藤にどこまでも深い感情をえぐられた
信念より大事な誰かのために変わること
信仰を超越する大切な人からの"啓示"
どんなに難しくても受け入れることが全てだ


余談
何よりもスクリーンでドランをみれたことが嬉しい
好きすぎるせいかもしれないけどドランの寂しげな立ち姿から閉鎖感と孤独が伝わってきて
その佇まいだけで涙ぐんでしまった。
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