真田ピロシキ

バットマン&ハーレイ・クインの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.5
ハーレイクインの生みの親ブルース・ティムの脚本をハーレイの原典アニメイテッドシリーズ風の絵柄で描いた新作アニメーション。物語の筋は大親友ポイズンアイビーを止めろ!この時点で私的に高得点。ジョーカーとは小道具を持ち歩いてるくらいで完全に切れている状態なのでジョーカーのオマケではない自立したハーレイの魅力がタップリ。バットモービルで屁をこきバットウィングでゲロを吐くヒロインが見られるのは本作だけ。ジョーカーと連んでいないとそれほど悪人ではないハーレイらしさが描かれていて科学者の死を看取るシーンには素の優しい面が見える。アイビーの説得を泣き落としで済ませる所なんて堪りませんよ。結局大義より友情を優先してしまうアイビーもね。やはりハーレイ&アイビーは至高。その前の殴る蹴る掴む投げるの格闘戦も仲良く喧嘩しなでしかないことは分かっていましたよ。

アニメイテッドシリーズは重いトーンの話が多かったが、本作はハーレイメインなので引きずられてバットマンもナイトウィングも軽い。DCコミック随一のモテ野郎と言われるナイトウィングの腐れディックぶりと言ったら。こいつは幾ら何でも浮かれ過ぎだ。ジャスティスリーグの微妙なヒーローを応援に出そうかと通信が来たら邪険に扱うのも酷いぞ。自分が人気キャラだと思って。負け犬てw 高校時代に自分を振った男を追いかけたりと散々ハーレイに振り回されながらもやっと情報源に辿り着いたバットマン達を取り囲むのは恨みを持つ犯罪者達。そこを60年代ドラマ版風の演出で片付けるファニーさ。オチも壮大な前振りの後にふざけていて最高。キュートなクインゼル先生のオマケ映像もあるぞ。

DCアニメはこれに限らず質が高いのが多くシリアスにもコメディにも行ける懐の広さがある。これがどうして実写映画だとああなのか。本作を見た後だと実写ジャスティスリーグなんか高校デビューをしようとしてる痛々しい根暗中学生にしか見えない。ハーレイとアイビーにキャットウーマンを加えた実写映画の企画があるそうだが今までを思うと不安しかないし、駄作だったらスーサイド以上にボロクソに言うぞ。

Blu-rayの映像特典にはアニメイテッドシリーズから二本収録。記念すべきハーレイとアイビーの初コンビ結成と日本未放送の仮釈放されたハーレイの1日を描いたエピソード。2本目は色々と本編で拾われている要素があって続けて見ると面白い。当時はアニメのオリジナルキャラでしかなかったハーレイに丸々主役の回が設けられるのが大人気振りが伺える。