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名探偵コナン ゼロの執行人のjnkのレビュー・感想・評価

4.3
から紅でせっかく殺人ラブコメ路線に戻ったのにまた大人向けで大丈夫かと思ってたけどかなり面白かった。
初期こだま作品っぽさを狙った劇場版の中では一番良かったと思う。

今回の大人向けはただ単に話がややこしいというわけではなくて、含みの幅というか、メッセージの肝の部分にあえてはっきり説明しないところを残してるあたり。
殺人ラブコメ要素もちゃんとあって、蘭のお母さんの使い方も完璧。
栗山さん出てこなかったらマジ切れしてたと思うけど彼女らしい活躍していて大満足。
単なるこだま作品の真似事で終わらず、ちゃんとアホなアクションシーンで殺人ラブコメ感が爆発するから、ツッコミどころを楽しむこともできる。
一番の殺人ラブコメキチガイはお前だったのかというクライマックスは必見。愛するものの存在がでかければでかいほどアクションがアホになっていくのも素晴らしい。

確かにネットがハッキングされて街が大変!みたいなのはワイルドスピードアイスブレイクとかいうアホ映画であれ以上のことをやってたし、アニメならもっと滅茶苦茶できただろうとか思わんでもないけど、そこそこ大変になってたからよかった。
そういえばハッキングという言葉は使ってなかったあたり、そこらへんもちょっと大人っぽいのかも。
ただあれ使った犯罪という件に関してはかなり色んな角度から突っ込めるし、あの規模で悪いことができるのに毎度犯人が設定するパスワードが単純すぎる。
あんな名前と数字の組み合わせなんか秒やろ。

犯人のアホっぷりはしゃあないとしても、微妙にモラルがあるみたいなのはかなりがっかりポイント。
こだま作品のイカレ犯人達がなんであんなに記憶に残るかって、自分のことしか考えてないからで、気遣いとかしてたら全くダメ。
今回の動機は壮大だけど、多少の犠牲はしゃあねえ精神でもっと狂っていた方が「正義」についてももっと深くなったと思う。
なんかこういうオジマンディアスなりかけみたいなのあちこちで見るけど、踏み込みが甘いと善悪のテーマはボケるだけな気がする。

いやでも惜しいところはあっても良かった。
「協力者」という関係について色んなあり方があるという件はストーリーがわからない子供にもなんとなく伝わると思う。
とかくポリコレポリコレ言われる昨今じゃコナンはよく槍玉に上がるし、そういう意味でのカウンターとしてもかなり意味のある作品になったのでは。
意味不明に車が飛んだりするコナン映画の中で不自然じゃなくキャラクターを生きた人間として扱うのはこだま作品っぽさがある。
あの狂気の犯人達のような人間らしさを色んなキャラクターから感じられてそれだけで見応えがあった。

これからも期待できるかなーと思ってケツに付く来年の特報映像見たらなんか次の舞台は船らしい。
コナン映画で船が出てくるの駄作の予感しかしないけど大丈夫か。
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