まーしー

交渉人のまーしーのレビュー・感想・評価

交渉人(1998年製作の映画)
4.0
公金横領と殺人の濡れ衣を着せられたシカゴ市警の交渉人ダニー(サミュエル・L・ジャクソン)が、人質を盾に高層オフィスに立てこもる。彼が交渉役に指名したのは、見ず知らずの別の交渉人クリス(ケヴィン・スペイシー)だった——。
交渉人vs交渉人の緊迫したやり取りを描いた、高度な心理サスペンス。

なかなか骨太な作品。90年代の作品の中では良作の部類だと思う。
同時期、エディ・マーフィが交渉人を演じた『ネゴシエーター』が公開されている。あちらはエディが陽気にペラペラ喋るポリス・アクションだったが、本作は違う。
犯人を刺激しない心得など、本格的な内容となっている。

オフィスに立てこもり、警察に取り囲まれるダニー。真実を闇に葬るためか、命まで狙われる始末。
真相を暴こうとするも、警察の誰が黒幕か分からないため、告発する相手も見つからない。
まさに孤軍奮闘。

しかし、クリスは違う。頭脳明晰な彼は、ダニーの置かれている状況に違和感を覚えていく。
気が付けば、警察vs交渉人ダニーvs交渉人クリスという三つ巴の構図。
『ダイ・ハード』のような立てこもり事件を描きながらも、銃撃戦ではなく、言葉による攻防が、本作の特徴であり、魅力だろう。

頭の切れる交渉人どうしが、ツーカーで意思疎通を図るところは爽快そのもの。
警察官が束になっても、彼らの機転には及ばないのではないか。
映画『シェーン』をネタにしたラストを観て、そう思った。

2時間超えの作品だが、高い緊張感が持続した、見応えある一本。