字幕版を鑑賞。
某ポッドキャストで紹介されたのを聴いてからずっと気になっていたこの映画。レビューでは「広げた風呂敷のたたみ方がイマイチ」という評価が多かったので、あまり期待値を上げずに観てみた。
主人公が陥った「半径15メートル以内、全員即死」という、ワンシチュエーションスリラーとしては斬新な設定を手際良く観客に飲み込ませていく手腕は中々だが、それを充分に活かし切る前に第二の謎の女が登場するのには、作劇的に上手くないと感じた。
ところが、この女が登場する事によって前述の設定に新たな条件が加わって、それによってより映画としてスリリングになるという驚きの展開。これには正にアイデアの勝利だと感心した。
更には、この映画当初思っていたのと違うジャンルへとシフトしていくのも面白い。
序盤での「SF設定のワンシチュエーションスリラー」から「特殊な設定下でのヒューマンドラマ」へとシフトしたかと思えば、終盤「猟奇サスペンス」へとなだれ込むまさかの展開。
若干詰め込み過ぎの感もあるが、90分の間常に創意と工夫を凝らした"おもてなし"されて充分満足した。