カカポ

千と千尋の神隠しのカカポのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
5.0
凄すぎるので正直この映画についてあんまり話したくない。話すと減る気がする、自分がこの映画に対して感じた何かが。

親の庇護のもと弱く頼りなかったひとりの女の子が、湯屋での労働と厳しくも優しい仲間たち、その中で巻き起こる様々な出来事を通じて、次第に自分だけの力で立てるようになっていく。ただそれだけの物語なのに何でこんなに唯一無二なんだ。こんなにも絢爛でこんなにも不思議な世界なのに、全てがそこに存在するという確かな手触りを感じられる。

何もかもに溢れた湯屋を離れ、穏やかで満ち足りた銭婆の家を訪れるまでのあの道中。カオナシや坊たちと共に過ごしたあの静かな夜が歳を取るごとに愛おしく映る。厳しい環境で働くことも人を育てるが、人生はそれだけではない。本当の名前を取り戻してくれる人がいる、迎えにきてくれる人がいる、帰る場所がある。そのことを見つけられた時、子どもは少しだけ大人になって家に帰っていくのかもしれない。
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