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千と千尋の神隠しのasahiのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.8
ジブリパークに行く前にジブリ一気観作戦第8弾

もののけ姫のトラウマから公開当時、予告編のカオナシでNG。ちゃんと初めて観たのは大学時代。その後何度も見返してきた作品。

冒頭の千尋の両親、というか特に父親が自分の考えを突き通し、人の意見を聞かずに我が子があんなに嫌がってるのに我が道をいき豚へ。
私も千尋の立場ならトンネルを潜ることも嫌だし、同じように止めると思う。あのシーンを見ると共感性羞恥ではないけど、それに似たような観ていられない!という気持ちに毎度なってしまう 笑

そして同様に毎度思うのが、母親の千尋への冷たい態度。
(まぁ父親も千尋をほぼガン無視してるからもっと酷いかもしれないけど。)
この両親は普段から千尋に対しこの態度なのかな?それとも道路の舗装がなくなる祠のたくさんある辺りから神域のような場所に入り、大人の醜さ、、その人の本性?が剥き出しになるのかな?そうだったらいいなと思う。

逆に千尋は子供なのでまだ純真で、そのお陰でやっていいこといけないことに対しても自分に素直で豚にならずに済んだし、神様にも好かれるのかもしれない。
そうなると年齢的に大人な私はなるべき足を踏み入れたくない場所だなぁとゾッとする。
そもそもそんなの関係なく、あの世界が怖い。神様の他によくわからないに透明なドロドロな生き物や人間に近い見た目の動物たち、電車に乗っている人たちは人間に見えるけどなんなのか、、。リンはいつかあの街に行くんだって言ってたけど、あの街はなんなのか、、なんだかとても閉鎖された世界のような感じがしてとても怖い。終わりが見える世界みたいな、、言葉にするのが難しい。

世界観が怖いっていうのはあるけど、好きなところもいっぱい!
ジブリの建物って大好きなんだけど、ごちゃごちゃしてる建物部門では1番好きなのが油屋。
正面から見ると絢爛豪華な和風な建物。でも横から、後ろから見るとあとから増築されたような小さな部屋っぽい場所やなぜか1本伸びる白くてロイヤルな洋風な塔。
館内も豪華な客室。さらにもっと煌びやかな湯婆婆のプライベートスペース。
1番好きなの坊ちゃんの部屋も悪趣味なお金持ちの家の子供部屋みたいで最高!他の部屋に比べ全体的に明るくパステルな玩具箱感!そして甘やかされ尽くされてる感!かわいい!!
特に山ほどあるカラフルなクッション。柄も配色も全部可愛い!わたしもあそこに埋もれて眠りたい。

それに対して従業員の裏方や住居スペースのごちゃごちゃ詰め込んだ感も最高。
吹き抜け階段の辺りはコクリコ坂のカルチェラタンみたい。(たぶんカルチェラタンが油屋みたいなんだけど)
特にちょっと突き出したスペースの床屋さんがいい。
釜爺のボイラー室の生活感もとても良い!
不気味なくらいそれぞれ振り切った違うイメージの空間がすごくツボなんだけど、やっぱりどこかゾッとする。

逆にこちらもとっても好みだけどまだちょっと安心感があるのが、銭婆婆の家。
駅から家までの道のり、そして迎えに来てくれたカンテラも怖いけど、なんて可愛い家なんだろう。ぽってりとした外観。魔女の家感のある草花もたくさん吊るされちょっと牧歌的。
湯婆婆の部屋と比べたぶんポカポカして暖かいと思う。

あの迎えにきてくれたカンテラはハリーポッターを読んでて思ったけどおいでおいで妖精のピンキーパンクでは、、?
カンテラを持った手でピョンピョンとんで旅人を沼地に誘い込むってそのままじゃん、、。
でももしあの道案内してくれた子が本当にピンキーパンクでもきっと銭婆婆が魔法をかけて、もしくは契約していい存在になってるんだろうな、、そういう設定だったらいいな。

最後の千尋とハクのお別れのシーン。
観ていてとても寂しい。千尋は念願叶って両親とともに元の世界に戻れるけど、それでも少しだけハクが気がかりな様子。
ハクはあのあとどうなってしまうんだろう、、もう千尋の世界にはハクの行き場所はないし、ずっと油屋で湯婆婆の弟子なのだろう。
GotG 3の時にも思ったけど、仲間と別れて終わる映画ってたくさんあるけど千と千尋はモヤモヤが残らない(いや寂しさや虚しさはあるけど)言い終わり方だと思う。
それにしたってジブリは本当にどこかちょっと切ない気持ちにさせるのが上手。
演出と、風景と音楽かな?
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