ちろる

欲望のちろるのレビュー・感想・評価

欲望(1966年製作の映画)
3.7
サスペンスなのかアート作品なのか、はたまたその両方なのか・・・
若きジェーン バーキンのちょい役ぶり、60年代のロンドンのファッションや町並みもおしゃれで色々と印象的なシーンはいくつもあり、もちろん鮮やかな配色や構図の素晴らしさは言うまでもないのだけど、なんせ主人公トーマスのことが生理的に嫌いで仕方ないのでこの作品を心から好きにははなれない。
独りよがりな彼の存在自体がこの物語の肝であることは重々承知なのだけど、多分デヴィッド ヘミングスのビジュアルが嫌いみたい。

モンタージュのように散り散りのエピソードが切り貼りされたような不条理な展開、全面的に観客に解釈を委ねるような構成という類のものは個人的に嫌いではないし、絵画を意識したような美しい画角も何もかもがセンスの塊で好きなのにリードとなるトーマスの「欲望」振り回されたくなくて、一歩引いてしまった。

多分観た人それぞれの解釈が存在してはっきりとした答えが無いし、今の時代観ても新鮮さが残るほどの斬新さがこの作品の魅力のなのだろうけれど、
シャッターを切るたびに混沌へと向かっていく迷路のような展開にもっともっと巻き込まれたかったのが今ちょっと悔しい。
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