あるバナナ

名探偵ピカチュウのあるバナナのレビュー・感想・評価

名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)
2.9
1/1スケールでリアルに生きているポケモンが見られて感動!
群れを作って自然の中で暮らしている姿には、生態系も感じられてワクワクした。
ポケGOファンも取り込んで、興業収入もメキメキ伸びているようで!

◆ポケモンコンテンツとしての本作
戦闘シーンの迫力がかなりのもので、ポケモンがあくまでも″モンスター″、人間じゃ敵わない存在であることを再認識。
それでも、人間に大怪我はさせてなかったから、ポケモンが悪者になってないのがミソ。

同じくポケモンを描く上での配慮として、食事シーンを省いていたのにも感心した。(アニポケでは、ポケモンの屠殺を連想させないために肉を食べるシーンが基本的に描かれないなど、食事シーンの描き方がちょっと繊細。)

3Dモデルについては、
・原作デザインに割りと近いやつ
・かなり怪物感を強調されてるやつ
の2種類がいて、個人的には怪物感が強いやつはあんまり好きになれなかった。
もうちょい可愛くていいじゃん・・・。
っていうか、デザインに関しては株ポケは何も言わなかったのかな? ピカチュウに至っては下ネタもバンバン言ってたし笑(あるいは口出し出来なかったのか。アメリカの映画は、制作前に原作が口出しできる範囲を契約でガチガチに縛られるって聞くし。)

この映画で久し振りにポケモンに触れた人が、新しくポケモンファンになってくれるかと言ったら微妙だと思う。この映画のテイストって、やっぱりポケモンの中じゃかなり異色な部類だし。今作みたいな映像作品もっと見たい!と思ってもないわけで。
でも、第一世代~第七世代まで幅広く登場してて、知らないポケモンもいただろうから、久し振りに本編遊びたいなあって気持ちは喚起できるかもしれないし、「リアルな世界にポケモン」って点でポケGO.プレイヤーを増やすきっかけにはなる気がする。
「名探偵ピカチュウ」シリーズに新たにファンが付くって言うよりは、普通にポケモン正伝のファンが増えそう。


◆タイトルは「名探偵」だけど
・・・探偵要素はほとんど無かったかな。
真相にたどり着く方法が、現実にあったシーンを再現する3Dホログラムを見たり、自分で記憶を思い出したりって感じで、どれも全然推理してなかったし。
ミステリー要素を期待して見る作品ではない感じ。

◆主人公の年齢設定
社会人なのに、高校生みたいな描かれ方をしている主人公に違和感を覚えた。
保険調査員としてちゃんと働いてるのに、抱えてる悩みは「友達がいない」とか「父親に会いたくない」とか、何だか子どもっぽい。

親子ものとして家族で見られる作りにはなってたけど、映画業界から見た今の20代のペルソナって、自立した大人っていうより、親の庇護下にいる子供って感じなのかなあと悲しくなった。

ポケGOヒット後のポケモンコンテンツは、「キミに決めた!」、「みんなの物語」、「ポケモンYシャツ」など、20代~30代を意識したものも多いので、間違ってはいないと思うんだけど……。

◆ドラマに感動できなかった
主人公にあまり自己投影出来なかったからだと思う。
それは、上に書いた年齢設定と描かれ方のチグハグさもあるけど、父親との軋轢の描かれ方が浅かったからっていうのもありそう。
・父親が引っ越さなければならなかったやむを得ない理由
・主人公が(祖母ではなく)父親に直接引っ越しを断るシーン
上記2つのシーンがあれば、もっと親子2人共に、もっと感動移入できた気がする。
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