あるバナナ

Winnyのあるバナナのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.5
自分はコンテンツ業界に身を置く者で、ファイル共有ソフトは、主に著作者の権利を侵害するために利用されるソフトだと認識していた。
絶対的な悪であると。
しかし、その認識は間違っていた。
winnyの罪はその機能ではなく、システムとしての未完成さであると再認識した。
金子氏が負うべきだった責は、未熟なそのシステムを世へ放った事実ではないか。

winnyの存在は当時から把握していたし、周りには使用しているものも少なからずいた。
彼らの多くは、あたかも自分が情報強者であるかの様な顔をし、著作物を購入する者を馬鹿にさえしていた。
そういった現象をwinnyが社会へもたらしたことは事実だ。
しかし、匿名のユーザーがネットへファイルをアップできるメリットを自分は想像できていなかった、

意義のある映画だった。

また、東出昌大の演技が素晴らしかった。
最後の金子氏本人の映像が東出昌大じゃないと気付くのに数秒必要だったほど、彼の演技は金子氏に近づいていた。
敢えて滑舌を悪く話したり、目線や姿勢の素振りなど、よく研究しているのが分かった。
あるバナナ

あるバナナ