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億男の大大のネタバレレビュー・内容・結末

億男(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

・宮沢りえ主演の「紙の月」的な、お金とはなんでしょね映画

・落語の芝浜のあらすじを知っていると、なおおもしろいかも

《芝浜のざっくりあらすじ》
怠け癖がついて酒乱の魚屋の男が、気立てのいい妻にせっつかれて仕事に行く途中の浜辺(芝浜)で、大金の入った財布を拾う。そのお金を仲間とのどんちゃん騒ぎに使って、酔いつぶれて目を覚ますと、妻は財布なんて見ていないから財布を拾ったのは夢だという。そこから男は改心して、酒もやめて、仕事で成功した。そんな年の暮れに、妻が浜辺で拾った財布を男の前に差し出す。戸惑う男が妻に尋ねると、拾った金を横領すると捕まるから警察に届け出て夢ということにした。それから時間が経って持ち主不明で戻ってきたのだという。今まで頑張ったご褒美にと男に酒を差し出すが、男は「また夢になっちゃいけない」と酒を断つ、というオチ。

・映画のシナリオがかなり芝浜に寄り添っているのがおもしろい

・それは芝浜という落語のストーリー自体が、現代にも通じまくっているからだと思う

・映画も芝浜も、お金で翻弄される人間と、人同士の信頼関係を描いている

・池田エライザガールが競馬場で、一男のLINE名を「雑魚」と「億男」とコロコロ変えて、お金に人間の価値基準が翻弄されまくってる様を、今ならではの手法で上手く描いてる!

・芝浜の男が、財布は妻が隠しているのではないかと疑わなかったように、一男も九十九が3億を持ち逃げしたとは信じなかった

・どちらの話も、主要人物のコンビ同士が熱い信頼関係で結ばれていることが共通点
(パートナーって大事だねッッ)

・一男の妻が子供を連れて出ていったのは、一男が借金を作って信用を失ったからではないかと思わせられるが、お金に振り回されすぎていることに嫌気がさしたからなんですねー

・借金を返すから丸く収まるのではなく、結局お金中心で生きていること自体は、何も変わっていなかったんですねー

・そこから一男は、数々のお金の達人たちに出会っていってヒントを得ていくさまに、ロードムービー的な軽やかさがあって、良い。映画が笑いを取りにいっている感じがいい。

・さらにモロッコでのプチロードムービー感の上乗せ。
(モロッコの砂漠で芝浜はシュールだし、砂の地面つながりで洒落が効いてて粋だぜ)

・娘の喜ぶことに投資をする大切さに気づいて、また一男は妻からの信用を積み立てていくことになるところで映画は終わるけど、
妻は結局、一男のどこに惚れていたのか?をもっとちゃんと描いたほうが効果的だったと思う。
(映画をラストまで観ても夫婦関係がドライな印象だぜ。。それが夫婦のリアルなのか。。。)

・競馬漬けの天才エンジニアはなんだか、スティーブ・ジョブズの相棒のエンジニアを彷彿とさせる。

・お金ってなんだろう。。

・口座にあるだけでなんか安心するのもお金だし、使うために存在するというのもお金なんだろう。

・日常なんとなく接しているお金というものは、自主的にコントロールしないと、正常な判断もできなくなる、魔力に満ちたアイテムであることが、映画を通してバシバシ伝わってくる。

・結局は、お金を何に使うのか?
自分のための何に?誰のために何を?ということを考えさせられる。

・藤原竜也サークルで、お金の使い道を書きなぐってた参加者ばりの勢いで、考えなければいかんですね。

・エンドロールの写真が地味に味わいMAX

・落語もそつなくこなせる俳優さんたちってすごいわ。
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