前作『バケモノの子』を観たときに、ジブリ無き後の"夏休み東宝アニメ"(ポケモンじゃない方)映画を支えていくのは細田守監督なんだと(個人的に勝手に)思っていたけれど、例の『君の名は。』の超ヒットのおかげで、恐らくより変なプレッシャーを抱えた中での映画制作になったんだろうな……と邪推。
その結果出来上がった作品は、大衆性よりも作家性が強く押し出された嬉しい驚き(!)に満ちた素敵な映画でした。
と言うか、ある意味でこれまでの集大成的な作品かもしれませんね。『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』と、それぞれの要素が良いとこどりな感じで凝縮されて網羅されていた感じで。
アニメだからこそな表現は観ていて楽しいし、くんちゃんが"お兄ちゃん"になっていく過程に自然と涙が溢れて……もうね、くんちゃんが未来の○○と対面するところとか素敵なシーン過ぎるって!
そして、(時間も空間も超越した)物語の舞台として最適な"素晴らしく変な間取り"の家!!サイコーです。
"過去"があるから"現在"があって"未来"へ続いていく━━っていうごくごく当たり前の認識に支えられていて、ってことはやっぱり力強い"現実肯定"なわけで。(しつこ過ぎて我ながら嫌になるけど『君の名は。』と違って)例えどんなに辛い過去があったとしても、決してそれを無かったことにしないで、
この"今"を肯定して生きていくんだ!
だからこそ未来に繋がるんだ!!
という強くポジティブな想いに共感し感動しました。
(『君の名は。』以前の新海監督作品だってそうだったはずなんだけども……)
(ただこの作品が老若男女に受け入れられる娯楽映画かと言うと……謎)