お母さん大好きな甘えん坊の男の子、くんちゃん。両親の愛情を受け、犬のゆっこと遊びながら幸せに暮らしていたくんちゃんでしたが、ある日、妹の未来ちゃんが産まれてから生活は一変。大好きな両親は未来ちゃんの世話に付きっきりで、未来ちゃんに嫉妬する毎日が始まります。ついに不満や嫉妬を爆発させ、家の真ん中にある小庭に逃げてきたくんちやんでしたが、そこで未来から来たという未来ちゃんに出会うのでした。
妹の誕生をきっかけに摩訶不思議な経験を体験した男の子が、家族や自分のルーツを辿り、幼いながらもちょっとずつ成長していくアドベンチャー映画です。
これまでの細田守監督の作品に比べ、心を揺さぶるようなパンチは確かに無いですが、小さい子どもがいる家族のリアルな実態や人間関係が丁寧に描かれており、じわじわと心が暖まります。
小さい男の子が主人公ということで、ファンタジーなストーリーや常識に捕らわれないのびのびとした世界観です。これまでの作品を感じるような演出もあるので、ファンには懐かしいものがあると思います。
初めての家事育児に戸惑う父親、仕事との両立に悩む母親の姿も描かれているので、色々な立場から共感できるのではないでしょうか。
これまでの作品のような激しい起承転結はないですが、静かだけれど小さな出来事を通して成長していく優しいストーリーで、新しい細田守監督の感覚に触れたような気がしました。
一点だけ気に入らない部分を挙げるとすれば、致命的なことに、主人公くんちゃんの声に違和感がありました。(笑)
