スコセッシフォールド全開

15時17分、パリ行きのスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.4
全ては運命づけられている。”その時”が来る。
少年時代から銃に憧れがあり触れてきた、人を助けることが夢で軍人になり、医療知識と柔術経験のある若者スペンサー。これが映画のために用意されたキャラ設定ではない。
そしてヨーロッパ旅行シーンが不要なようでそうではない。本来パリに行くはずだった日に、アジア人女性と出会いサン・マルコを見て回り間食にアイスを食べ、ワインを嗜む際に『あなた達の旅行計画はパリ以外素敵』と言われ、宿泊しているホテルに戻り、バーで飲んでいると隣りに爺さんが座り、『アムステルダムへ行け』と勧めてきて、結局パリではなく予定外だったアムステルダムに行ってしまう。アムステルダム発パリ行きの列車に、あの車両に、あの座席になぜ彼らがいたのか。そしてなぜテロリストを制圧できたのか、乗客を救うことができたのか。こうして整理してみると興味深い。
フランス大統領の祝辞シーンで解像度が落ち、実際の映像を挿入したんだな、となるのだが3人の俳優の顔、体格が一切変わっておらず、ようやくここで当事者本人がずっと演じていることに気づく。しかも乗客の一部も本人たちが演じているという。