mrかっちゃん

万引き家族のmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3
「3度目の殺人」「そして父になる」などの是枝監督のカンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞した作品

祖母の年金を頼りに決して裕福とは言えない生活を送り万引きをする事で生計を立てている5人家族に実の両親から虐待を受け捨てられていた少女を家族として迎い入れる事から物語は始まる。

劇中のセリフ、演技、空気感がどれも実在する物のように思えフィクションの映画というよりドキュメンタリーを観ているかのような感覚に陥りました。
子役やシーンによっては脚本を渡さず、その場で作っていくという演出を監督は毎回しているようですが、その巧みな技術で一瞬で物語に吸い込まれてしまう。

登場人物の物語の最後に取る行動が、この映画のテーマ「家族とは何か」を表しているように思える。
終盤の一人一人の行動の中に確かな絆を感じた。
社会から見放され生きることに必死になっているからこそ生まれた絆。
じっくりと描いているからこそここまでのリアリティを作れるのだと思います。

また、日本が見て見ぬ振りをしてきた社会問題も物語のテーマになっています。
実際にあった死亡届を出さずに年金を貰い続けたものや、親による子供虐待問題。
日本の闇を扱っている作品がパルムドールを受賞したということはある意味日本の今を知ってもらうきっかけにもなるのではないかと思います。

生きることについて考えるきっかけになる作品です。