ardant

万引き家族のardantのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
-
是枝裕和監督が他の映画人と違うところは、彼は、まったくゼロから作品を作り上げることだ。原案を書き、脚本化し、映像化するその気概であり、力だ。それに私は畏敬の念を持つ。そして、彼は、映画を作ることに他の人とは違う覚悟を持って挑んでいるように感じる。確かに、そんなことはいっぱしの映画人であれば、誰でも思っていることだろう。しかし、それを出来上がった作品に結実させることは難しい。

本作品も、少し考えてみれば、つまらない話だ。しかし、二時間の間、観る側をスクリーンに集中させる作品はそんなにあるわけではない。

それにしても、捜査官に「子供たちはあなたのこと何と呼んでましたか」と聞かれた時の、安藤サクラの表情での演技には、恐れ入りましたと言うしかなかった。

正直な話、是枝裕和監督の過去の作品で、もう一度観たいと思った映画は私にはない。『三度目の殺人』も観ていないし。
それに本作品が、カンヌでグランプリを取ったとあるだけで、観る気持ちが萎えてしまう。それでも、ほとぼりが冷めた頃、映画館に足を運んだ。無駄ではなかった。滅茶苦茶、落ち込んだけれども。
ardant

ardant