シネラー

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのシネラーのレビュー・感想・評価

4.5
劇場公開時に鑑賞済み。
その時以来の再鑑賞だったが、
現実と虚構を交えた心温まる映画だと思う。

かつての人気俳優リック
(レオナルド・ディカプリオ)と
その専属スタントマンをしているクリフ
(ブラッド・ピット)が織り成す、
1969年のハリウッドを舞台にした
作品だが、事前知識として
女優シャロン・テートの事件を知らなければ、
本作の面白さは大きく半減すると思う。
又、60年代から70年代にかけての
ハリウッドが伺える美術や描写には、
その時代に生きていた訳でもないのに
その雰囲気が感じられた。
終盤に至るまで、
本作の監督がタランティーノ監督
である事を忘れていたのだが、
それを思い出させるタランティーノ節が
炸裂する終盤は、やはり凄まじくも
ユニークだった。

リック、クリフ、シャロン
それぞれの物語が中盤まで進行するが、
どれも物語として平坦的である為、
冗長に感じてしまう部分がない訳では
なかった。
只、クリフの物語は、
時代背景を描写しながら、良い前フリに
なっているの思った。
リックとシャロンに関しても、
胸にときめきを感じる内容ではあった。

本作の結末には、現実も映画のように
なって欲しかったという願望が
詰まっていると思う。
それと同時に、
夢や幻想を映像化して観せてくれる
"映画"そのものの可能性に満ちている
と感じられた。
シネラー

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