コマミー

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのコマミーのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

【歴史の変革】

※この作品を観てからの、閲覧をお勧めします({追伸}「イングロリアス・バスターズ」も鑑賞されることもお勧めします)。


巨匠ロマン・ポランスキーの妻"シャロン・テート"が"マンソン・ファミリー"に殺害された事件は、皆さんご存じだろう。あれを機に、アメリカ国民の生活背景も大分変わり、"時代を揺るがす"事件になった。

そんな壮絶な事件をタランティーノがどう表現するのか、とても気になった。

まず、"リック"と"クリフ"という二人の主人公の立ち位置だが、これは実は重要な立ち位置に最も属しているのが、スタントマンの〔クリフ〕だったりする。本作でもちろんシャロンは出てくるのだが、この[二人こそ]がシャロンに属するのだ。しかも、クリフはマンソン・ファミリーのあの"ヒッピー共"に接近もしている。
リックの方はというと、ハリウッドで落ちこぼれの俳優という立ち位置にいる。傲慢な反面、神経質な部分もあり、本番に弱い。ディカプリオの演じたキャラクターでは、珍しくはないキャラクターだが、特異なキャラでもある。
一方、肝心のシャロン・テートはというと、既にロマンとできていて、自分が出演した「哀愁の花びら」を観て、ニッコリ笑顔。ここで自分が驚いた部分というと、シャロンが住むのロマンの邸宅とリックが住む邸宅が"隣り合わせ"であることだ。これは"かなり狙った設定"であることが伺える。

本作の構成としては次の通りである。

序章…二人とシャロンの灼熱のような経験の物語

中盤…マンソン・ファミリーとの出会い、そしてチャンスを手にするリックの物語。

終盤…嵐の近付く不気味な日々、タランティーノが描く「シャロン・テート事件」のもうひとつの答え。

タランティーノは、「歴史をどうゆう風に面白くするか」を"徹底的な考察"と"他作品のオマージュ"を一手間加えて、"「もうひとつの1960年代のハリウッド」"を作り上げたのだ。

映画とハリウッドの歴史の"面白い部分"と「もし…ならば…」という願いを詰め合わせて、最高にクールな映画…。


それが、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」になったのである。
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