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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのdaradaraのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

最初から最後まで161分、常にクライマックス!

古いモノを現代的で新しいモノに、ただそこにはリスペクトを忘れないヒップホップ的なセンスをもつタランティーノによる9作目『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。

『昔々ハリウッドで…』というタイトルからも分かるように、実際の物語をお伽話の一つとして描いた虚々実々を交えたストーリー。

落ち目の俳優リックとその専属スタントマン、クリフによるバディ。
この二人の絶妙なバランス、心地良い距離感が長い時間を共にしてきたことを想起させる。

今回のブラピ演じるクリフは『ファイトクラブ』で男性性の象徴的存在だった自身を超えるくらい危険で、それと相対するようなキャラクターのリックとの相性もこれ以上なく良かった。
御神酒徳利のような最高のバディものとしても楽しめる。

また、光と陰がテーマの作品でもあり、
・リックとクリフ
・子役とリック
・シャロン&ポランスキーとリックリフ
・シャロンとプッシーキャット
・(タバコCMと撮影後) etc.
対象二人の関係性によって、光と陰の存在が変わっているのも面白い点だった。

何も起こらない恐ろしさ。引き延ばされる恐怖。
ラストが分かっているからこそ時間が進むこと自体サスペンスに。
不安が募る中、いよいよという場面で裏切られる。
予想だにしていなかった展開(リベンジファンタジー)に圧倒的なカタルシスがあった。
そこで、リックとクリフが私たち鑑賞者から見て完全なる大スターになっていた。

シャロンが襲われているのを助けるのではなく、知らずのうちに救っていた、そしてそのことには誰も気付かない、という構図が何よりも美しくたまらない。

一つ一つのカットやカメラワークから音楽、ミザンセーヌに至るまで本当に60年代に入り込んだようで、度々多幸感に襲われた。

そして、シャロンがシャロン・テート殺害事件の被害者というだけの認識ではなく、ひとりの女性として認識できたことがとても嬉しく思う。
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