daradaraさんの映画レビュー・感想・評価

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その手に触れるまで(2019年製作の映画)

5.0

\2020年、年間ベスト映画!/

盲信の先の排他的行動

純粋無垢であるが故に疑いを知らず、隣人を傷つけていくその行いは誰が為に。

ロベール・ブレッソン『抵抗』を想起させるシークエンスにドキッとし
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クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

3.7

物事が起こる前の何もない日常に潜む気味の悪さが異常。

会話のテンポ、挙動、目線の動きなど、無意識化で違和感を感じさせてくる。

本能に訴えかける"ヤバさ"は、理屈抜きで説得力があった。

異端の鳥(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

母とともに家が無くなり、名無しとなった少年は追放され、強制的に引き取られ、逃亡し、傷つけあって名前を取り戻す。

救われないシーンがモノクロの画面を通し、克明に映される。

理解が追いつくよりも前、空
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.2

目の前の壁を超えた先に光はあるのか。

容赦なく訪れる現実と離れていく理想。

友達、母親、社会の三つの軸が交差しながら突きつけられる真実とさまざまな愛情。
どこにでも棘はあって、裸足で歩くには辛すぎ
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ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

4.3

当たり前に描かれる女性達の物語。

最後は父親にまでその思想が伝播していく。

見事なアニメーション映画…!

今いる場所が全てではない。そこで立ち向かうより、別の場所こそ本当の居場所であったりする。
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.8

オンライン試写で鑑賞させていただきました。


"佐々木"の生命力は周りのマインドにまで伝播する。

移ろう時間の中で変わっていくもの、変わってしまったもの、そして変わらないもの。

青春に似た男はど
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

悪が正義になったとき、狂っているのはどちらの方か。

黒沢清 × 濱口竜介
師弟関係にして最高のタッグ。

"恥ずかしい"演出も演技もない。
邦画を見るときに苦痛に感じる恥ずかしい演技を見ずにすむこと
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マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

4.3

描かれるのは普遍な愛。

カメラポジションによる映像の美しさ。
カットの切れるタイミングと長回し、それを超えて目を見張るのは、大胆なモンタージュ。
Instagramのストーリーを思わせる顔のアップ、
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.4

押し付けがましいメッセージにぶん殴られるが、結局、何をいいたいのかイマイチ伝わってこない。詰め込みすぎて纏まらず、中途半端に感じた。

クラスメートにからかわれた最初の瞬間、躊躇いもなく椅子を投げつけ
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.6

優等生であっても口の悪さは元から最上級。

学生生活を満喫できていないと悔やんだことがキッカケだが、切り替えの早さからか終始ポジティブに物語が語られていく。

卒業までの経緯は説明せず、一夜の出来事だ
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.8

時間を逆行せよ。
主人公が主人公になる物語を撮ってきたノーラン。
本作はまさに、主人公が「The Protagonist」と呼ばれている。

↓→
S A T O R アンドレイ・セイター
A
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.4

くっ付いて離れる。(重力は愛)
物理的距離を置いた先にブラックホールで繋がる。時間を超えて。
導かれて彼らに。いや俺たちに。
それが証明するのは愛だ。

Blu-rayを買って何度も見た作品。
IMA
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.6

今回の鑑賞は一体何度目だろうか。
それくらいに魅了されている作品。
ただ、今回が一番作品を理解できた気がした。

さまざまな立場からの正義。
歪な愛と狂った執着。
理由のない悪(純粋悪)が一番怖い、正
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パターソン(2016年製作の映画)

4.1

ゆっくりと日々の温度を掴むように時は流れる。

なんてことない日々がどれだけ潤いに満ちていて、揺れが大きいかを認識した。

変わらない日常などなく少しずつ変化していく。
プラスにもマイナスにも。
マイ
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2分の1の魔法(2020年製作の映画)

4.0

魔法が真実を伝える。

科学と魔法。
心(気持ち)を入れることで使用できるという魔法のカラクリは見事。
ここには、科学よりも魔法が良いという簡単な物語ではなく、現代には気持ちであったり「想い」が大事で
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人数の町(2020年製作の映画)

3.6

物語を伝えるカメラワークに終始魅了された。

計算された人とカメラの導線。
会話と対峙するように枠が機能する。

*ただいま絶賛中。。。

町の詳細がいまいち掴めないことや、ヒロインを間違えるくらい出
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.9

人生の道、正解の道が見えないなかで、スケートボードは縦横無尽にどこまでも連れて行ってくれる気がした。

上達するまでの転倒、それは喜びへ続く。
しかしラストの転落。それまでの偏った考えが文字通り転落す
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ソル・レヴァンテ(2020年製作の映画)

-

これ手書きってどういうことだ…

理解が追いつかないまま終わってしまった。

圧倒。

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.9

どれが現実、そして真実?今見ているものは…。

当時の時代色を反映しながら、狂っていく行動心理、信用できない人物は普遍的なものを描いている。

現実と幻想の境界線を消して描き、後に線を見せる構造。
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.0

僕は動物じゃない、化け物でもない。
ただの人間なんだ。

身体が変形していることで他人から内面を傷つけられ、顔を覆うように心も知らずのうちに閉ざしていた。

それをこじ開けるように線を超え嘲笑する。
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.9

失われることが分かっていても、その時は追い求めてしまう。

時間の経過とともに二人の距離は縮まっていく。
敵意の抜けた瞬間、引き寄せようとする身振り、求める行動。すべてが自然に、そして細やかに語られる
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.6

WAVES. それは離れ、そして押し寄せてくる。

錚々たるアーティストによるプレイリスト。
歯車が狂い、落ちていく人生が最先端の音楽によって現代の物語として語られる。

衝動的に口走った、普段であれ
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汚れた血(1986年製作の映画)

3.9

初レオス・カラックス監督。

ジュリエット・ピノシュの美しさをそのまま切り取るようにして撮られた画面。

しかし、それはただ切り取っているのではなく、これ以上ない瞬間、動作を丁寧に抜き取るように。
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.9

過去と現在が繰り返し、時間を超えた伏線が回収される。

女性の生き方(と言っては大袈裟だが)、生き様が軽快に語られる。

共感するだけでなく一緒に考え、時に批判することがお互いを思い合ってることの証明
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.7

様々なテーマを当たり前に描くこと。

この映画が問題にしているのは、現実で取り上げられている、取るに足らない問題ではなく、それを当たり前に超えた先にある普遍的テーマ。

内面にある複雑さをユーモアを交
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怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)

3.8

理解できないモノを受け入れることができるか。

虐められていた対象も下を見つけると虐める側になっていく。

自分が助かればいい。自分さえ良ければの連鎖。

自分たちが逆の立場になって初めてそれまでの恐
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.7

LSDがダンスと共に広がっていく。

本物のダンサーによる偽りのない狂気的でいて美しいダンス。

そこにギャスパー・ノエの少しのスパイスと秀逸なカメラワークによって物語が構成されていく。

半回転長回
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アップグレード(2018年製作の映画)

3.6

AIと電気信号を介してコミュニケートする。

最新テクノロジーをテーマにそれと呼応するように編集された映像、音響。

AIの暴走、制御された肉体。
人工知能は信じるに足りるか。

従順?真意?主導権は
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.0

熱いモンタージュと音響、ダンス。

ヒョンチョル監督の時間軸を優に超えるジャンプカットが気持ち良い。

無駄のない時間の使い方でリズム良く且つ感傷を与える。

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.9

モノクロの静止画の連続。

しかし、そこには時間が流れ、また時間を超えて物語が紡がれる。

過去と未来、そして瞬間の美しさを存分に楽しんだ。

直ぐに、そしてこれまでで一番長く見入った30分間だった。

ムービー43(2013年製作の映画)

3.3

最高のキャストで最低のお話。

これで一緒に盛り上がれる存在がいたら、それは友達。

くだらない。それだけ。最高。

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.0

自分を産んだ罪で親を訴える。

僕(たち)は何のために生きてきて、今を生きている。

親の為(都合)に生きてるわけじゃない。
勝手な都合で産もうとする。
無責任だ。養えず、苦労させるような責任のない親
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ルース・エドガー(2019年製作の映画)

3.9

アメリカの建前と矛盾。

嘘をつくこと、言わないこと、見て見ぬ振りをすること。

映画内、ルースの(決定的な)悪いシーンはない。
しかし、真意が分からないから信用できない。

母親が疑った先には、知ら
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