Inagaquilala

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

4.2
これはクエンティン・タランティーノ監督の第9作目、自分にとっては、とことん楽しい映画になっていた。2時間51分、1969年、アメリカンニューシネマ勃興期、1969年の「ハリウッド・バビロン」の話をたっぷりと堪能した。なかでも「グリーン・ホーネット」時代のブルース・リーのエピソードには、抱腹絶倒。ブラッド・ピットがお得な役どころを演じている。基本は、レオナルド・ディカプリオが演じる落ち目の俳優と、ブラッド・ピットが演じる車の専属ドライバーまでしている彼のスタントマン、彼ら2人の友情物語だが、見事に両者とも役に嵌っている。それに、当時、ハリウッドを震撼させたシャロン・テート事件が絡むので、この顛末を知っている人間にとっては、最後までスリリングな心持ちでスクリーンに向かっていられる。

映画監督ロマン・ポランスキーと結婚したばかりの新進女優シャロン・テートが、自分の作品が上映されている映画館に入るシーンも、初々しくて素晴らしい。たぶんウエストウッドの映画館だと思うが、支配人が出てきて、入場するときの彼女の姿が殊の外、眩しく撮られており、終盤への興味を盛り上げている。「プレイボーイ」誌のヒュー・ヘフナーの自宅で開かれるパーティーも、ザ・ハリウッドの摩訶不思議な人間模様が描かれていて興味深い。とくにスティーブ・マックイーンが登場するシーン、ハリウッドの伝説のプロデューサーであるロバート・エバンスの「くたばれ!ハリウッド」を読んだ人間としては、思わず頷いてしまった。この作品の白眉、ラストに関しては、ネタバレになるので、詳しくは書かないが、監督のクエンティン・タランティーノに見事に肩透かしされるのに、なんとも妙な爽快感が残るのは、何故なのだろう。
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