ちろる

ヒトラーを欺いた黄色い星のちろるのレビュー・感想・評価

ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)
3.7
この作品は、生き抜いた4人の命の告白から過去を再現し、当時のフィルムも並行して再生してて、フィクションではないドキュメント的映像を作り上げている。

そこには残酷なまでのナチスドイツのユダヤ人根絶のための迫害が進んだ中で、全てのドイツ人たちがユダヤ人を忌み嫌ったわけではない。
ユダヤ人を匿えば、自分も家族も危ないという中で、1500人の人々が潜伏し生きながらえたという事実は、極限の状況でも、人間が人間らしくいたという証である。
しかも、ナチス将校にもそうした『抵抗』をした人がいたというのは驚愕であり、胸熱である。

インタビューでフォーカスされたユダヤ人は以下の4人。

ツィオマ・シェーンハウス
工場勤務を偽って収容所送りを逃れ、偽造身分証を作る

ルート・アルント
医師の父を持ち、その友人に匿われ戦争未亡人に扮して身を隠した

オイデン・フリーデ
恋共産主義一家に匿われ、収容所からの脱走者から真実を聞かされる

ハンニ・レヴ
身寄りがなく容姿を変えることで素性を隠し、恋仲となった男性の両親の元で身を隠した

それぞれが全く違う形で彼らの友人に、仲間に匿われており、それらに繋がりはないのがストーリーとして少々把握しにくいのだが、
運命の日である1945年5月2日(ソビエト占領)まで抵抗を続ける様子は、どれも実際の出来事だと思えないほどの壮絶さである。

匿った側のドイツ人について本人たちのインタビューがあれば尚よかったのだが、
なぜなら彼らこそがこの作品の真の主役のはずだから。
でも、そういう彼らの映像らドイツ人側の言い訳として利用されるから、残すのは難しいのでしょうか。

深い人類愛に感動したのと同時に、人間がどこまで人間らしくいる事ができるのか?
その問いかけを自分にも投げかけられてるような気がしました。

1番の問題点は邦題についてですが、『ヒトラーを・・・』と、書けばいいと思ってるのがなんかイラッとしました。
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