アキラナウェイ

ヒトラーを欺いた黄色い星のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)
3.3
今年に入って170本目の映画。
昨年トータルが170本なので、明らかにペースが上がっている。Filmarksのお陰様で。

1943年6月19日、ナチスの宣伝相ゲッベルスは、首都ベルリンからユダヤ人を一掃したと宣言した。しかし、潜伏したユダヤ人が7,000人、生き延びたのが1,500人。その内の4人の物語。

先日の「ユダヤ人を救った動物園」に続き、身を隠したユダヤ人達を描いた映画を鑑賞。

彼らはJUDAと書かれた黄色い星を上着に縫い付けられる。一目でユダヤ人とわかる様に。

4人のインタビューと当時の映像を交えながら映画は我々に語り掛ける。彼らは当時10代の若者で、生きる事に必死だった。空腹は当たり前。寒さに凍え、あらゆる手段で身を隠そうとした。

匿ってもらえる親切なドイツ人に出会っても、秘密警察ゲシュタポの強制捜査に追われ、隠れ家を転々とせざるを得ない事もある。身分証明書の偽造で日銭を稼いだり、出兵前のドイツ兵になりすましたり。ある女性は、美容院で髪色をブロンドに変え、偽名を名乗り、別人に生まれ変わる。また別の女性は戦争で夫を亡くした未亡人に扮する。そして敢えて堂々と街を闊歩する事でドイツ人の景観の中に紛れ込む。しかし知り合いに出会ってはいけない。同じユダヤ人同士でも密告される恐れがあるからだ。

夜の闇に紛れて生きる。

収容所での虐殺で恐怖を描くのではない。
その扉がいつ力強くノックされるかわからない恐怖を描く。

4人のそれぞれの物語が順不同で進行する為、「あれ、この人はどういう状況だっけ?」と少々混乱してしまうのが難点。

彼らは語る。
ドイツ人の中でも親切な人はいた。
ドイツ人全員が悪い訳ではないと。

劇中で印象に残ったのが、「1人の人を救った者は、世界をも救ったのだ」という言葉。目の前の人を助ける事は、決して小さな事ではなく、世界を救うのと同義であるという力強い言葉。

僕はM:i フォールアウトのイーサン・ハントを思い出していた。