ルイ・デリュックの遺作。サイレント作品。
ローヌ川のほとりの村。
若い農夫アルバンはマーゴットと結婚の予定。
市長の秘書をしている近眼で脚の悪い孤独な老人ブロック。ある日手紙が届くが、風で飛び追うも川に流れてしまい読めず。
駅に到着した大きなバッグを持った一人の女性ゲルメイン。地図を頼りに歩き続けるが、体力が尽きて座り込んでしまう。
そこはアルバンの屋敷の前。出てきたアルバンが冷え切ったゲルメインを家に招き暖炉の部屋で休ませる。
やってきたマーゴットが冷たくあしらい、ゲルメインは再び歩き出す。
たどり着いたのはブロックの家。
ゲルメインは昔、男を作って家を出た母と暮らしていたブロックの娘で、母が亡くなり戻ってきたのだ。(川に流れた手紙は彼女からのものだった)
ブロックと町へ出たゲルメインは、アルバンと再会し、彼のことばかり考えてしまうが、彼の婚約相手のマーゴットが当然ながら邪魔をする。
悲しみ寝込んでしまった娘の姿を見ても何もできないブロック。
そんな中、村に鳴り響く鐘。
豪雨で川の水位が上がり、堤防が破壊されてしまったのだ。
そしてマーゴットが行方不明となり・・・
前半、アルバンが見つめる川の流れに多重露光でマーゴットの顔。
ブロックが暮らす暗い部屋に暖炉の光。
ケタケタ笑う軽薄で性格悪そうなキャラのマーゴット。
アップになった時のブロックの表情・・・
印象的なシーンも多数でした。
「洪水」のシーンはトリック撮影で表現する予定だったのが、偶然ローヌ河が氾濫して実際の洪水風景を撮影することができたものの、その悪天候下での作業が原因で肺炎となってしまい33歳で亡くなってしまったそうです。。
HENRI - La Cinémathèque française
https://www.cinematheque.fr/henri/film/48030-l-inondation-louis-delluc-1923/