エクストリームマン

クリード 炎の宿敵のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.0
Like yesterday to me.

※ネタバレしてます。

おとぎ話の続き、その残酷さと克服の物語。ある意味テンプレートな敵役だったイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)がロッキーに敗れた後に歩んだ薄暗い道を観客に染み込ませるようなオープニングからはじまることからも、本作がアドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)の物語であると同時に、いや寧ろ、イワン・ドラコとその息子:ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)親子の物語であることを示している。

前作で諸々“乗り越えた”はずのアドニスが(物語の構成上の制約から)ヴィクターと感情的に対立し自分を見失う展開は「クリード」シリーズとしては一貫性に欠けるかもしれないが、そのマイナスを補って余りあるのは、ロッキーとイワン・ドラゴがリング際で“再戦”する展開と、何よりもイワン・ドラゴがロッキーに“勝利”する展開だろう。試合に負けて勝負に勝つを地で行く王道展開ではあるものの、クライマックスの試合までに積み上げた描写がドラゴ親子の切実さをこれでもかと観客に刻みつけていて、その上で、血に塗れた栄光を取り戻すことよりも“家族”を取り戻すことを土壇場で選択できたイワン・ドラゴこそ、真の勝者だった。