ハル

ガチ星のハルのレビュー・感想・評価

ガチ星(2018年製作の映画)
3.7
強烈なクズ男が滑稽に暴れまくるガチンコ競輪ムービー。
プロ野球選手をクビになり、街で喧嘩→愛想をつかされ離婚。
酒と煙草とパチンコ(クズ界三種の神器)に溺れてるところを幼馴染に拾ってもらうという救いようのない落ちぶれスタート。
でも、これくらいなら挽回可能なはず。
しかし、究極のクズ男こと濱島はさらに純度を高めていく。

窮地を救ってくれた恩人である幼馴染の奥さんに言い寄りSEX。
案の定、不倫がバレて仕事もなくなり、縁も切られる(不倫って書くと、タイムリー過ぎて広末の顔が…)
快進撃はまだ続く。
極めつけは離婚後、久々に再会する息子からのお願い「カーブを教えて」の約束を盛大にすっぽかす。パチンコで…
倫理観や人間性を置き忘れてきた完成形がこの濱島。

彼がどれほど駄目なやつなのかを徹底的に描く前半。
一転、後半はガチガチな養成所編。
この対比が熱い。
何もやることがなくなり、ぶらぶらしていた矢先「競輪選手なら40過ぎてもなれる!」という居酒屋の与太話に飛びつく濱島。
普通は腐ってしまうところだけど、恥も外聞も捨てさっている為、ある意味無敵。

養成所→プロになってからは残酷な挫折シーンが連続する。
40でプロを目指す事がどれほど無謀なのか、過酷な現実がまざまざと。
自分自身ずっとバスケをやってきたから、濱島の気持ちは痛いほど伝わってきた。
そうなんだよな、10代〜20代が中心の世界では30超えてたら『オジサン』なんだよ…

バカにされても、教官に詰められても戦い続ける男。
毎回ピンチなのになんとか凌いでこれたのは、この負けん気の強さゆえ。
舐められるのもコケにされるのも絶対に許さない。
そして、プロになって相対する同期の久松との死闘、そこからのラストカットは不思議と清々しく感じられた。
終わり良ければ全て良し!

本作は鬼気迫る描写が多く、トレーニングシーンや試合のシーンは限りなく本物に近い熱量で演出されている。
競馬でも競輪でも競艇でも、賭け事の対象となる選手育成機関が半端じゃなく厳しいのは有名だよね。
そのリアルでハードな雰囲気を疑似体験した気分。
人が変わるきっかけは“成功の積み重ね”、或いは“これ以上ないレベルの失敗”をしてしまい、開き直った時なんだろうな。
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