杜口

トゥルー・ロマンスの杜口のレビュー・感想・評価

トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)
3.8
トニースコットがどこまでタランティーノの脚本いじったのかはわからないけど、最後のとこ以外は基本タランティーノらしい感じ。

特に三つ巴になっての銃撃戦はまさしくタランティーノだし、ゲイリーオールドマンが殴りまくるシーン以外はトニースコットらしい演出は控えめ。
ただ、単純な逃走劇というのはトニースコットにも共通する。


まあちょっと無駄なべしゃりが少ないタランティーノ映画に見えなくもない感じ。

あと、ノーカントリーのラストシーンはこの殺し屋とパトリシアが対峙するシーンが元だったのね。部屋に入ると、無言で椅子に座る犯罪者がいるっていうあの怖さ。そこからの何事もないかのような素振りでする会話。いやな雰囲気やわあ。
それに、そこでの殺し屋の台詞は映画史に残る名台詞。

“最初の殺しが一番難しい。殺人鬼だってきっとそう言う。
2回目もやさしくはないが、多少感覚がマヒして初めての時より楽だ。少し慣れてくる。
3回目はずっとラクだ。もう何も感じない。今は相手の表情を楽しむ。”

これはこの映画の殺し屋がそうであるように、映画の殺しは最初でないことが多いし、それがいい。
なぜなら、殺す理由が薄くなり説明する必要がなくなるから。そうして自然と映像の流れるがまま物語も進められる。
このシーンをオマージュしたノーカントリーのアントンシガーなんてまさにそう。理由もわからず、ただただ追いかけ殺す。
これこそ映画の殺人を象徴するセリフだ。

このシーンだけでも見る価値ありまっせ。
杜口

杜口