takanoひねもすのたり

ゴッズ・オウン・カントリーのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.8
再鑑賞。

イギリス版ハピエンver『ブロークバック・マウンテン』

イギリス、ヨークシャー。
祖母と半身不随の父親と暮らし、牧場の家畜の世話や取引をひとりで回している青年ジョニー(ジョシュ・オコナー)羊の出産期を迎え人手が足りず季節労働者ルーマニア移民のゲオルゲ(アレック・セカレアヌ )を雇う。
そのふたりの物語。

牧場の牛や羊の世話は全てジョニーひとりの負担、畜産業は24時間365日休みが無いようなもの、父親は頭ごなしに命令するし、祖母も厳しい、自分なりに一生懸命やってるのに仕事振りは認めてもらえず……ジョニーが行き場の無い鬱憤を酒浸り行きずりセックスで気を紛らわし、牧場経営も不安要素大で将来は見えないし、彼があれこれひん曲がった原因は分からんでもない。

そんなやさぐれメンタルの時期に現れたゲオルゲの家畜に対する確かな知識、穏やかに語る言葉と意外な頼もしさと力強さに段々と惹かれる……のも分かる(懐くが正解な気がするが)

「ここは美しいが寂しい」
山の放牧場で遠くを見つめる穏やかな表情のゲオルゲ(東欧系イケメン)を近くで見ていたら、これは落ちます。
おまけにデキる男だし(仕事が)

出会って一週間経ってないけど 笑

マウント取りのような荒々しい泥まみれの獣性剥き出しセックスから、優しさと焦らしが同時に溢れる情感たまらぬセックス……後者はジョニーがそれまで体験してこなかった経験なんじゃないかという気がする。

ジョニーの悪いところは問題を濁して(酒、セックスに逃げる)しまう点で、それがゲオルゲに見捨てられる原因になり。

ゲオルゲがジョニーに与えた影響はデカくて、荒れ地に水が沁みるように心の乾きが満ちて、そして目が覚めたんだろうなあ……と。
この辺のジョニーの内面の変化がとても自然で演技上手いなあと思った。

そしてゲオルゲの包容力が広すぎて尊い。

また、祖母の慧眼にひれ伏す。
(息子の部屋で使用済コンドームを拾い、そしてゲオルゲを探してくるという孫に全てをわかった目でメモを渡すという……無表情だが見ているところは見ている感が……)