さ

覗かれる人妻 シュレーディンガーの女のさのレビュー・感想・評価

3.5
監督いわく「悦楽交差点2」とされる覗きもの。あちらのダイナミックな展開と違って、こちらは静謐な、ドビュッシー的な耽美性を保ちつつジリジリ物語を進めていく。これが少々静かすぎで、いつ話が爆発するんだろうということばかり考えてしまう。しかし、である。途中から鑑賞目的に性的興味は薄れ、異邦人が舞い込んだ不思議なホームドラマとして、裸の家族ゲームとしてこの作品に対峙している自分に気づかされる。果ては「同じテーマから発してよくこれだけ異なる角度のホンが書けるな」と感心してしまった。決して城定マスト作とは言えないが、氏の引き出し力を知るには興味深い。ちなみに爆発は確かに訪れる。あの「父さん」で爆笑してしまった。
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